お嬢といっしょ【ars/K.N】 (ページ49)

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上座に組長、それに向き合って、若頭、補佐を先頭に

スーツを着た幹部たちが規則正しく、正座で並び

一番後ろに俺が座っている。

組「さっさと若いもんに任せて、私は隠居しようと思う。言っておくが、うちの経営のノウハウは渡しても構わんが、Aを大野にだけは絶対に渡すな」

若「分かってます。しかし、最近の大野の動向を調べてますが、以前よりずっといろんなことに手を出していて、焦っています。Aさえ取り込めればこっちのもんだと水面下で何やら企んでいそうで……。あの手この手を使ってまたAにもしものことがあったら……」

組「確かに。木嶋、松浦、かずくん。Aの周りで怪しい動きをしてる奴はいないか？」

組長が俺らの方に視線を移し、優しい声で意見を求めてきた。

木嶋「今のところ、そういったことはありません。ただ、大学内で何かあった場合は、こちらとしてはあまり派手に動くことは……」

松浦「お嬢の周りにはいつものお友達がいます。お友達の影響で少しやんちゃをすることもありますが、お嬢自身、何も変わったことはないかと」

この2人が言うことは正しい。

けど、お嬢の気持ちや、細かな行動はきっと知らない。

俺だってずっと一緒にいるわけじゃないから分からない。

こうしてお嬢がいないところで、勝手に大人が先回りして考えて

大事に大事にして、姫を囲うようにしたお陰で

良くも悪くも、お嬢が世間知らずすぎるのが否めなくて、不安だ。

「今私が一番近くで見守らせていただいている限り、そういった人間は見られません。大切に大切に皆さんがお嬢を育ててくださったお陰で、純粋で優しくて、美しく、清い女性になられたと思います。しかし、何も知らないお嬢を悪い奴が誑かして、まんまとクズで馬鹿な男に引っかかってしまわないか心配です。私は、お嬢がそんなくだらない奴らのせいで、傷ついて泣いてしまうことだけは嫌です。一分一秒も目を離したくないほど心配です」

変なサークルとかに誘われて、サークル活動より飲み会を重視してる馬鹿たちは

大学には吐くほどいるわけで。

何も知らない一年生に酒を飲ませて、訳わかんなくして

よからぬことをする奴だって、一定数いるんだから。

相談役「かずくん、ありがとね。いつもAのこと見守ってくれてて。ごめんね。心配かけてて」

「いえ、仕事ですから……」