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昔からここの人に呼ばれてきているのか
この傷程度では全く驚いていない。
医者「深くなくて良かったねぇ。縫わなくて済むよ。でも暫くは気をつけてね？」
「いてててて、はい」
深くないとは言いつつ、刃物で斬られた傷は消毒液で染みて、まぁまぁ痛い。
医「あまり無理しないようにね。お嬢さんが悲しむから」
「はい。ありがとうございました」
医「喧嘩は程々に(笑)じゃあ失礼するねー」
＊「病院までお送りいたします。和君は休んでてね？」
「すみません」
俺も先生を見送って、部屋の中から窺うように玄関を覗く。
若「大野には注意しておくとして。その子の名前を言いなさい」
『何で』
若「事細かく聞いておく必要があるからだ。まだ中学生だろ。彼氏は早い。健全な付き合いなのか？え？」
極道の家という前に、きっと娘だから心配しているんだと思った。
男親なら通る道なのかもしれない。
ただそれがすんなりと許される環境じゃないだけで。
組「だいたいな、どういうつもりでそいつと付き合ってんだ！」
『どういうつもりもないってば！まだお互い学生なんだから！それにそこまで言う必要なくない？許嫁がそのうち勝手に決まるんでしょ？！だったらそれまで好きにしたって良いじゃん！』
若「よくなーーーーい！！全然良くない！お前が傷つくだけなのが目に見えてる！お父さんたちはそれを心配してっ……！」
『うるさい！分かってるから！そこはちゃんと分かってる。だから刺青したんじゃん……。でも普通に！ほんとに普通に待ち合わせして、普通にデートして、普通に手を繋ぎたかったの！分かるでしょ、お母さんなら』
さっきから黙ってこのやりとりを見ていた相談役は
急に話を振られて、気まずそうにこめかみを指先で掻く。
相「まぁ……分からなくもないけど……」
若「だとしてもお前はまだ早い。お前と付き合うということは、相手の子にも危害が加わる可能性が少なからずあるってことを頭に常に入れとけ」
『……もう良い。別れたら良いんでしょ？わかった、わかった。大野のとこ傘下に入れて、大野といずれ結婚すれば良いんでしょ！』
お嬢が何もかもを諦めた顔をしながら、投げやりな言葉を発した。
若「それだけは絶対にさせない！大野なんかに絶対やってやるもんか！けどな、相手はきちんと選べ。お前の家は極道だ。それをちゃんと理解して受け入れてくれる相手じゃなきゃダメだぞ」
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年5月31日 10時
