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なのにわざわざこっちに出向いてくるなんて……。
廊下を歩きながら、話をしてくれる。
補佐「どうやら合併したいらしいんだ、うちと」
「えぇ？何でまた？」
補佐「正確には合併は事業の方みたいなんだけどさ。若頭がやり手でしょ？手広く事業をやってて金もある。若頭はもともとこの組に入ってきたのも、知ってて入ってきたわけじゃなく、こっちが誘ったんだよね。事業立て直しに。それからうちの組は目に見えてよくなった。だから若頭が次期組長になると同時に、クリアな組に移行していく予定ではあるんだ。それは今の組長も了承済み。まぁ、相談役と恋仲になって結婚したのは想定外だったみたいだけど(笑)それに比べて大野組の勢力は年々衰退していって、今の智組長のお父さんがもう亡くなっていてね。借金もかなり残したままだったから、資金繰りが難しいらしい。で、堅気の仕事にも力を入れているうちに恥を忍んで頭下げにきたってとこ」
まぁまぁ複雑だな……。
「へぇ。でもうちの他にもうまくやってるところあるんじゃないですか？」
補佐「うん。確かに。だけどそれだけじゃない。お嬢自体が欲しいんだ、あの組は」
「えぇ！！」
思わず大きな声を出してしまったおれに、しーっ！と口を塞いでくる。
「何のために？！」
補佐「お嬢を取り込めば、確実に金が大野組に回ってくるからだよ。ノウハウだけ手に入れてもすぐには金にならないからね。それにまだあの組は拳銃も薬も蔓延してる。それから昔、お嬢を攫ったのもあの組。まぁ若い衆たちが勝手に計画立ててやっちゃったんだけど」
「えぇ……。ちょっと、えぇ？」
補佐「だから手っ取り早く組を立て直すには、お嬢との結婚ってとこかなぁ……」
「はぁ？そんなの……」
補佐「させないよ？絶対にね。それはこの組全員の総意。でも結婚じゃないにしろ何かしらでお嬢を差し出さなきゃならないかもしれないってなったら、所詮こういう世界だから仕方ないと思う部分も少なからずある。大野組は堅気の仕事に関してはまだまだだし。クリアな金稼ぎをアピールしたいんだよ。ちなみにお嬢を狙ってる組は少ない。お金関係なしにね。身内贔屓もあるだろうけど、お嬢、結構可愛いでしょ？相談役譲りの容姿で」
「んー、まぁ確かに、将来綺麗になるんだろうなぁという感じは否めませんが……だからってまだ子どもですよ？」
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年5月31日 10時
