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Aちゃんの誕生日から数日後、大安の日に婚姻届を提出した。
『おめでとうございますって言ってくれるんだね』
「言うでしょ。めでたいんだもん」
『離婚届の時は？』
「何も言われないよ(笑)」
『そっか』
「二宮さん？」
『……返事してあげない』
「何でよ！」
『名前で呼ばれる方が嬉しいから』
「くっふふ、そっか。Aちゃーん」
『何ですか？』
「もし俺が先に死んでも泣かないでね」
順番で言ったら俺が確実に先。
あとは、やっと結婚してくれたから、俺が死んでもAちゃんが困らないようにしたいし
それまでに色んなものを残してあげたい。
1番輝いていた時期から俺の勝手な欲に巻き込んでしまったから
最期くらいはなるべく手を煩わせたくない。
色々考えながら言った俺の横で
『ううん……泣いてあげる。だって、この世界で一番好きな人が、この世界からいなくなるんだもん。私の生きていく世界に、かずさんのいない世界はもういらない。ずっといて欲しいから、私がかずさんより先に死ぬね？だからかずさんは私より1秒でも長生きしてね？』
繋いでいる手を大きく振って、俯いてそう言う。
きっと照れてるから。
顔は見えないけど、風に吹かれて靡く髪の隙間から見える耳が真っ赤だからよく分かる。
「あぁもぉ……本当に俺の奥さんは可愛いねぇ……」
繋いでいない手でくしゃくしゃと頭を撫でてあげると、上目遣いで俺を見て
『だから世界で一番長生きして？』
「ギネス目指すわ(笑)」
『ふふ、うん』
微笑みながら、俺の肩に頭を擦り寄せてきた。
全く。
可愛いったらありゃしない。
今日はたくさんたくさん抱いてあげよ。
それから、朝まで抱きしめて寝よ。
で、また朝になったらいつもと変わらない日を一緒に始めようね。
「ちょー幸せ」
『うん』
「愛してるよ、Aちゃん」
『知ってるよーだ』
「Aちゃんは言ってくんないの？ 」
『……気が向いたら言う』
「はいはい(笑)」
素直じゃない君を抱きしめて今日も眠る。
最高に幸せ。
愛を知らない君が
俺と出会ってくれたことで、愛を知った。
愛を知った君は、この世界で一番可愛い。
いつまでも可愛くいて欲しいから、俺のそばで、全力で君を愛し続けよう。
『かずさん？』
「ん？」
『……愛してます』
「知ってるよーだ(笑)」
『うっざ(笑)』
「んっふふ」
To be continued…
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年5月31日 9時
