カリギュラな関係4 【ars/K.N】《完全完結》 (ページ25)

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『でも怖いよ。私、親の愛情なんて知らないもん……。この子にも同じこと……』
「しない。絶対にAちゃんはしない。俺がいる限り、絶対。２人の子なんだから、2人で育てよ。Aちゃんがしんどいときは当たり前に俺がやるし。ね？だから大丈夫」

そんなことをしたくなるような関係や空間、感情になんか絶対にさせない。

させてはならない。

『ん……。ねぇ』

「ん？」

『……可愛いね？』

ぎこちないけど、口角をキュッとあげて俺を見たAちゃん。

何度もエコー写真を指先でなぞるから

ぽつりと言った“可愛い”の言葉が上辺だけじゃないって伝わってきて

それが嬉しくてたまらなかった。

「ん……かわいいねぇ……」

『何で泣くの？』

「んー？だってAちゃんがエコー写真みて可愛いって言える日がくるなんて思ってなかったから……」

愛情を知らない、捻くれた感情しか知らなかった頃からしたら、かなりの進歩で

あぁ、これだったらAちゃんは大丈夫だと思えた。

『泣かないでよ、それくらいで。別に私、子どもは嫌いじゃないし』

「そうだけど。嬉しい」

『先が思いやられるねぇ』

「おじさんの涙腺ガバガバだから許して(笑)」

それから妊娠は順調に進んで、仕事もバリバリしているAちゃん。

最近はお腹が重たくて辛そうだけど、仕事がありすぎて休めなくて

家では帰ってくるなり、寝転ぶのが日課だ。

「ご飯できたよ、食べよ。昨日の鍋の残りで雑炊」

惣菜とか出前のほうが多いけどね。

妊娠してからは俺が大体ご飯担当です。

『んー。疲れた。おいしそー』

「お疲れ様」

『かずさんも。頂きます。おいし……あ、そういや明日健診だ！忙しくて忘れてた。2週間あっという間に終わっちゃうから』

カレンダーを見て、思い出して良かったって言いながら、ご飯をもぐもぐ。

はい、可愛いーー！

「本当だ。一緒に行こうか」

『うん。助かる。あ、赤ちゃんも美味しいってさ。超動いてる(笑)』

「どれどれ。本当だ(笑)元気だねぇ」

『うん！』

お腹に手を当てて、胎動を2人で感じる。

妊娠中に不安になる人も多くて、Aちゃんも最初は本当に生きてるのか心配もあって

泣いちゃうこともあったけど、今は胎動があるからか、そういったことはないみたい。