ダールベルグデージー6【ars/K.N】 (ページ35)

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なんだろ、って素直に俺の言う通り目を瞑ってくれて

そしたらAの長くて綺麗なまつげが、顔に影を作りながら

赤い唇の両端が上がって、少しだけ笑みを浮かべた。

付き合い始めた時より、綺麗になってんな……

その姿に見惚れて、ふわっと頭を抱き寄せて

綺麗なまつげに優しくキスを落とす。

『んふふ、チュウがプレゼント？』

俺からの突然のキスに、パチっと目をあけてふわっと笑う。

「ううん、Aが綺麗だったからしたくなっただけ。だからまた目ぇ瞑って？」

『はぁい』

やば、すっげードキドキする……！

手汗がすごい。

心臓が飛び出しそうなほど暴れて、息も手も震える。

こんな緊張するなんて思ってなかった……

ジーンズで手の汗を拭って、後ろに隠してた指輪の箱を取り出す。

白くて、青いリボンが付いてるベルベットの小さな四角い箱

蓋を開けるとプラチナのエンゲージリング。

サイズはちょっと不安だけど、Aの小さな手、細い指につけても違和感のない華奢なデザインと

大きすぎないダイヤモンドの指輪。

その指輪を、大事に大事に取り出して

太ももに乗ってるAの左手をそっと俺の右の手のひらに乗せる。

ぅわ、も、手が震えて、指輪がはめらんね……。

もう1回深呼吸をして、狙いを定めてゆっくり薬指に指輪をはめた。

は、はまった……

その瞬間、Aの閉じてた瞼がまたパチっと開いた。

でも今度の視線の先は、ダイヤモンドがキラキラ光る左薬指。

Aの左手はまだ俺の手の中にあって

その手を両手で優しく握って、俺の緊張が伝わんないように

だけど、俺の気持ちが全部Aに伝わるように、ゆっくり問いかける。

「これ、なぁんだ？」

『えっ、と……』

今この状況が信じられないのか、びっくりしてAは声が出ないみたい。

自分の左薬指にはめられた指輪と、俺の顔を交互に見て

右手で口を押さえて、目には今にも溢れそうなほどの涙が溜まってる。

目を見開いて、びっくりした表情で俺を見つめてて

瞬きしたAの瞳から、大粒の涙が指輪のダイヤモンドみたいにキラキラ光りながら、いくつもいくつも頬を伝っていく。