ダールベルグデージー6【ars/K.N】 (ページ19)

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「だったら……！」

『だったら何なの？じゃあ私が何もかもどう思ってるか、今すぐ言えば良いわけ？この状況で、もし言ったとして、それがかずくんが納得する答えとか、気持ちじゃなくても満足するの？！』

「んだよ、その言い方！！」

『ていうかさ、かずくんこそ、いっつもそうじゃん！断れない、その答えしか言えない状況に追いやって、私の本当の気持ちも、思ってることも、最後までちゃんと聞いたことないじゃん！』

「はぁ？それはAが結局、素直に言わねぇからだろ！」

『かずくんこそはっきり言わないからでしょ！？同棲の話だって、今の結婚の話だって、なんだってそう。いつも全然知らないところで、私に相談せずに勝手に話進めるじゃん！』

「それは！良かれと思って……！」

『はぁ？良かれと思って？何それ！結局そうやって私の気持ちなんて考えてないし、知らないじゃん！！いい加減にしてよっ！！』

いつになく大きな声で言い合いをしてるから、怒りで興奮してAの息が上がってるのがわかる。

『ごめんけどしばらく1人にして。同じ空間にいたくない！』

「そうかよ……！だったら今すぐ出てけ」

まさか“出てけ”なんて冷たい言葉を言うなんて、自分でも思わなくて

びっくりしてAの顔を見たら

一瞬だけ泣きそうな顔をしたから、ごめんってすぐに言おうと思ったのに

「ご……」
『言われなくても、出て行きます！！」

俺を睨みつけながら、勢いよく椅子から立ち上がると、本当に荷物をまとめ出すA。

はぁ……。

さっき、でもって言いかけた時、ちゃんと聞いてやれば良かったんだ。

Aがどう思って、その答えを出したのか。

無言で荷物をまとめるその姿を、ただただ横目で見ることしかできない俺はバカだ。

止めるなら今しかないのに

もし、ここでAが泣いたら抱きしめてごめんって謝る口実になる……

そう考える俺はやっぱり最低でずるい。

机に両肘をついて、頭を抱える俺を見向きもせずに

必要なものを鞄に詰めて、あっという間にパンパンになっていくAの鞄。

マジでこのまま、Aが本当にいなくなるかもってそれのが怖くて

「なぁ、行くとこねぇだろ。いろよ……」

リビングのドアに手を掛けたAの手首を、ぐっと掴んで

今言える、精一杯の素直じゃない言葉をかけた。