ダールベルグデージー6【ars/K.N】 (ページ13)

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『きゃっ！……んもぉ！びっくりしたぁ！あはは、どうしたの？』

「んー？ふふ、あのね、すっげー良い事あったんだよ！」

『えぇ、良い事？なぁに？』

「うんとね……？」

どうしよっかなーって焦らすと

『んふふ、だからなぁに？教えて？』

前から思ってたけど、Aの“なぁに”って言い方が、すげー優しくて好きなんだよね(笑)

そんで、Aが俺の大好きなふわふわの笑顔で聞いてくれてるのが、後ろからでもよく分かる。

「あのね……？」

『んもー、焦らさないでよぉ』

「そのうち分かるよ。Aにとっても多分良い事だもん」

『えー！気になる！ヒント教えて？』

「ダメ！まだ教えない！」

『んふふ、ケチ！』

「嫌いになっちゃう？」

『ううん。大好き』

「俺も、大好きだよ」

それ以上のことはやっぱり聞いてこないけど、俺の話の内容が、悪いことじゃないと思ったのか

背中から微笑んでるのが伝わった。

Aとの、この柔らかく愛おしい空間が続いて欲しいから頑張ったんだって

すぐそこまで出そうなのを隠すように、目一杯Aを抱きしめた。

そして次の日

珍しく2人で休みが合った、特に予定もない穏やかな休日。

時間が思ったよりかかって、Aの誕生日も俺の誕生日も過ぎちゃったから

いつ言おうかなって考え中。

それに、どうやって言ったらAは喜んでくれる？

きっとAの事だから、高級レストランで気取ったプロポーズなんて望んでないでしょ？

あ、指輪も用意しなきゃ。

Aの手は小さくて、指も細いから……

そもそもサイズなんだろうな。

指輪のサイズなんて聞いたら、勘がいいから絶対バレるだろうし……

一般的には何号なんだろ？

うん、やっぱり来年のAの誕生日にしてあげたいな。

大好きなAが生まれた日だから。

誕生日だけは一生変わんないもんね。

『ねぇ、かずくん？何考えてるの？』

ソファーでゲームをする俺の隣で、本を読みながら聞いてくるA。

あれから前よりは仕事のことも、普段のことも、今みたいに聞いてくれることが増えた。

「んー？何で？」

『珍しくゲームオーバー？の音ばっかり聞こえる(笑)』

「くふふ、今難しいとこなの。どう攻略しようかなって。どうやったら、どのタイミングだったらストレートでいけんのかなって考えてんだよ？」

『ふぅん。攻略できると良いね？コーヒー飲む？』

「ん。飲む」