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見回りのくじ引きに負けた俺を、これでもかと傲慢な笑顔で
櫻井先生が見てきやがる。
きっとその日、飯に誘うんだろう。
あわよくばそこで告る予定かも知れない。
俺がその前に告って阻止させるのもいいが
何せA先生の情報が足りないのと
俺を1人の男として見ていないのが分かるから
焦って気持ちを伝えたところで、失敗するのは目に見えている。
櫻井先生にも興味はなさそうだが、知り合った歴で言えば上なわけで。
有利じゃないとは言ったものの、そこの時間は俺には埋められないから。
どうするか……。
まずここは、慌てずに敵とA先生の出方を窺うべきか？
……ゆっくり考えてる暇はなさそうだけど。
そして、A先生に声はかけたものの誘えないまま
夏休みに入ったが、俺は普通に毎日学校に来ている。
目的は2学期の準備だ。
そして、櫻井先生もA先生も来ている。
A先生は、主に楽器の管理、軽音サークルの生徒たちと練習で
櫻井先生はと言うと、2学期の準備は勿論だけど、1番の理由はピアノの練習だ……。
けど今は、音楽室からこの前カラオケで聞いた曲たちが、賑やかに聞こえてきている。
和「うまくなったなぁ」
2人でカラオケ店で練習した時よりも、ずっとうまくなってるギターと
生徒たちの音色に、自然と鼻歌が出る。
時々笑い声や、うまく出来た時の歓声の隙間から
セミの鳴き声とかも聞こえてきちゃって。
和「夏だねぇ……」
トントン……
和「はい」
＊「二宮先生〜！課題、教えてくださ〜い」
夏を感じていた俺のもとに、威勢の良い女子生徒が
馬鹿すぎるボリュームで部屋に入ってきた。
距離感知らねぇのかよ。
でもまぁ、ノックをしただけよしとするか……。
和「まずは自分でやってみましたか？」
＊「やったけどぉ」
＊「先生に教えてもらいたいのぉ♡」
和「授業をしっかり聞いて、ノートや教科書を見たら全部分かりますが」
俺の机に手をついて、顔を覗き込んで
ねー！って言ってくる。
＊「授業中は先生の声と顔を見るための時間だから、板書の余裕ない(笑)」
和「それは私の授業を真面目に受けていないと言う、堂々としたカミングアウトですね」
パソコンで作っていた教材を保存し、机の上を整理しつつ、一応相手をする。
＊「だって先生かっこいいんだもん！目の保養〜」
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年5月29日 10時
