ヒメユリコンペティション【ars/K.N&S.S】 (ページ1)

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和「はぁ……」

4月。

新学期。

新しい制服に身を纏った新入生と

真っ青な空に桜の花びらが舞って、まさに入学式日和。

昇降口には、生徒たちがクラス表を見て一喜一憂していて

先生たちも新しい日だからか、それなりに緊張感が漂っている。

俺はこの4月からここの学校に転勤してきた。

まぁ少し前からこっちには通っていたけど、クラスを持っていないから

特段何もやることがなく、教科準備室からその様子をぼーっと見下ろしていた。

すると控えめなノックの音がする。

和「はい」

『二宮先生？もぉ。いるなら電話に出てくださいよ。職員会議始まりますよ』

和「あー。俺がいてもいなくても変わんないかなーって」

『変わります(笑)始業式で自己紹介もありますから。ほら、行きますよ。先生が遅刻なんて生徒たちに示しがつきません』

和「はいはい」

俺をわざわざ呼びに来たのは、音楽教諭のAA先生。

1番暇そうだからと、慣れるまで俺のサポートをしてくれるらしい。

俺、理科の先生なんですが(笑)

そんで、俺の勝手なイメージで、音楽教諭ってちょっと変な人が多い感じだけど……

まだ知らないだけで、この人もちょっと変な人なのかも知れないから

あんまり深く関わんのやめよって心に秘めておく。

『少し慣れましたか？』

和「まだ慣れるわけないでしょ。来て1週間ですよ。適応能力そんな高くないです」

『ふふ、それにしては随分自由ですね？理科準備室でタバコなんて。でも校内は禁煙ですから、ちゃんとルールは守ってください』

「ルールは破るためにあるんじゃないですか？(笑)」

『違いますよ！先生が破ってちゃだめです。お手本にならなければ』

「みんながみんな真面目な先生だったらつまんないでしょ。たまには僕みたいなのがいた方が気が休まる」

『屁理屈ですね。理科の先生っぽい』

「それはそれはありがたきお言葉。嬉しいです」

『褒めてはいません』

「僕にとっては最大級の褒め言葉です」

そうですか……と俺の前を歩いて呆れた声で返事をしたA先生。

本日より、俺の中で、クソ真面目のクソ変人認定しました。

体育館には、それぞれの学年が整列していて

その隣に先生が生徒の方を向いて並ぶ。

一年生は少し緊張していて、二年、三年は俺の顔を見て

見慣れないからか、何やらコソコソ話してる。

今年は俺だけがここに異動だったらしく、余計に目立つから面倒臭い。