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『どうしたんですか？！家に帰れないんですか？財布落としたとか、家の鍵無くしたとか？！』
突然の訪問ですごく焦る私を見て、大口を開けて笑った翔さん。
以前ご飯を食べに連れていってもらった後、送ってくれたことがあったから、家は知られてたけど
わざわざここに来ることなんて無かったのに。
「ううん。Aちゃんともっと話したくて来た。ごめんね、急で。大丈夫？」
『あ、いや、大丈夫ですけど……すみません。ちょっと散らかってますがどうぞ』
汚くはないものの、机の上に学校の教科書が散らばったままだったから、さっと隅に寄せてた。
『ここにどうぞ。コーヒーか紅茶か水かお茶、どれにしますか？』
「じゃあコーヒーのブラックで」
『はい』
翔さんがローテーブルの前に胡座をかいて、私の部屋を見渡しているのが背中に伝わる。
話したいことって何だろう。
まさか、私の気持ちが伝わっちゃってて、迷惑だからやめろとでも言いにきたのか？
あり得る……あり得るな！！
だとしたら、恥ずかしすぎ！！
告白してないのに振られるとか、この世の終わり……！
明日から学校行けない……！
緊張で半分意識を飛ばして、震える手でコーヒーを出した。
「ごめんね、急で」
『いえ。お構いなく……』
「Aちゃんって結構シンプルな感じの部屋なんだね？」
『あ……物が溢れるのが嫌で必然と』
「なるほど」
静かな部屋にコーヒーをすする音が響く。
何を言われるか怖くて、黙り込んだ。
「あのね、Aちゃん」
『はい……』
この空間に緊張しすぎて掠れた声で返事しか出来ないし
私の気持ちを悟られまいと俯いて、翔さんの顔なんて見られなかった。
正座して腿に赤くなるほど固く握った拳を押し付ける。
「単刀直入に言いますっ！」
怖くて、ぎゅーっとまぶたを閉じて、涙が溢れそうなのを誤魔化す。
あー、ダメだ。
「好きです！付き合ってください！」
『……は？』
この人、今なんて？
驚きのあまり、翔さんを見つめて思考停止。
「だから、Aちゃんが好きです。俺の彼女になってください。嫌じゃなければ……だけど」
『っ……ななななななななっ！』
「あっはっは！何それ！どっちだよ！」
嘘でしょ？
私が好き？
は？夢かな？！夢かっ！？夢だ！
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年1月21日 13時
