白椿【ars/S.S】 (ページ37)

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とも「執着しすぎじゃないですか？可愛さ余って……みたいなことないですか？」

「酷いな、ともちゃん。そんなわけないでしょ？じゃ、また。マジでありがとね」

まだ何か言いたそうなともちゃんを背に、頬が緩むのを押さえきれない俺。

海外か。

そりゃ、Aの言っていた通り東京からすごーく遠いわ。

あー、職業聞けばよかったなぁ。

そしたらだいぶ国が絞れたかもしれないのに。

そう思ってもう一度振り向いたけど、ともちゃんはいなかった。

しかし、Aがまさか海外で働いてると思ってもみなかったな。

英語は俺よりいけたし、確か中国語もちょっと出来るって聞いてた気がする。

それをもとに考えたら英語圏と中国語圏で仕事……？

くっそ。

だとしても5年前のA言動を事細かく覚えてないから、考えても場所まではやっぱ全然絞れねぇ。

とりあえず、手当たり次第時間があれば行ってみるか……？

旅行にもなるし。

まぁ見つける前に、時間かかりすぎて死ぬ確率のが高いが。

その日の夜、久しぶりにAの夢を見た。

別れるその日の夢。

涙を流しているA。

その涙に手を伸ばすけど、触れられなくて……。

Aの泣き顔があまりに綺麗だから、未だに忘れられない。

A……？

どこにいる？

会いたいよ……。

Aの涙が何年経っても忘れられない。

ベッドでゴロゴロしてたら電話が鳴った。

ともちゃんだ。

『どうしたの？』

とも《ごめん。先輩にAのこと聞かれて、海外で働いてるから邪魔するなって言っちゃった》

……翔さん？

何で今更私のことなんて聞くんだろ。

もう5年も前なのに。

とも《聞いてる？場所も職業も伝えてないけど……ほんっとごめん！》

『別にいいよ(笑)どうせ分かんないでしょ？』

とも《でもあのひとやたら人脈広いでしょ？ロシアに友達いるって話聞いたことあるし、結構弾丸で海外行ってるみたいだよ？》

『だからって私が働いてる場所までは、絶対特定出来ないよ。カンボジアの田舎で小学校の先生してるなんて想像もしないだろうし』

とも《んー。とにかくごめん。色々聞かれて誤魔化したんだけど、先輩の背中が惨めすぎて、つい》

「そっか。元気だった？翔さん」

とも《ん。元気そうだったよ。相変わらず櫻井翔が櫻井翔すぎて、目眩がした(笑)》

『ふふふ、想像出来る』