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マネ「櫻井さん」
「んー？なに」
マネ「Aさん、大丈夫ですかね」
「さぁ……。大丈夫と信じるしかないよねぇ」
Aがどこにいるかさえ分からない今
どうしてやることもできない状況に、もどかしさを感じた。
近くにいたら守ってあげられるのに。
数日後、言われた通り週刊誌に記事が出た。
ネットは大騒ぎで、ワイドショーでもやっていて
俺の熱愛報道について、ファンがどう思ってるか、芸能リポーターが話している。
Aの簡単な情報が全国放送で晒されていた。
それを観て、Aのことがまだ好きで仕方ない俺には、めちゃくちゃ辛い。
あたかもまだ付き合ってるように伝えられる内容に、目眩がする。
「もう別れたんだけどね……。てか振られたわ」
誰もいない空間に呟いたら、もっと悲しくなって、胸が締め付けられ
涙が溢れないように、温くなったコーヒーと共に飲み込んだ。
それからまた月日が経ったある日。
大学の友達から飯に誘われたから、気分転換になるかと思って
Aと別れてからあまり外食してなかったから、行くことにした。
＊「よ！独り身ぃ！(笑)」
俺が店に入るなり、早速イジられた。
ワイドショー観たぞー！ってみんなに肩を組まれ、叩かれ、座敷に座らされる。
「まじで勘弁して。まだ立ち直れそうにねぇ」
＊「てかさ、お前知ってたんだろ？Aちゃんが嫌がらせされてたの」
ん？イヤガラセ？
＊「結構酷かったらしいな」
＊「階段降りてる時に後ろから押した話聞いた時、ぞっとしたわー。こわー！」
知らないんだけど、そんなこと。
A、そんなこと一言も言わなかったし
聞いても違うって言ってたのに。
てか、こういうことがないように注意してたんだけど、出来てなかったのか……。
そしてそれに気付いてやれなかった俺は相当鈍感ということだ。
＊「可哀想にな」
「誰から聞いた？その話し。ともちゃん？」
＊「ともちゃんなわけないだろ。他の女子達だよ。自慢げにあれしてやったこれしてみたって話してたのをたまたま聞いたってその子は言ってた」
＊「そんなことしても、翔が振り向くわけもなければ、別れるはずねぇのにな。女って怖ぇわ」
……不特定多数からされてたんだ。
Aの言葉を信じきってた俺は本当にダメだな。
そりゃ別れたくもなるわ。
俺のせいで嫌がらせさせてんのに、肝心の俺が気付いてねぇんだから。
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年1月21日 13時
