白椿【ars/S.S】 (ページ26)

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『たまたまじゃないですか……？』

平静を装って、そのたくさん出された写真を目の端で捉えた。

翔さんと外で会う時はマネージャーさんを必ず引き連れて、徹底的に隠していたから2ショットは無さそうだけど

2ショットに見えるようにすることくらい、この人たちからしたら朝飯前なんだろうと思った。

＊「たまたま？いや、違う。貴女が櫻井翔と付き合ってる情報は私の耳に腐るほど入ってる。ゼミが一緒だったのも、ゼミ室で逢瀬を重ねていたことも、半同棲状態だったことも、行きつけの店も全部ね。逆にすごいよ。つけられてたことも知らなかったなんて。あんたら鈍感なんじゃない？(笑)」

『っ、本当に違います、私じゃない……！』

＊「見ればわかる人はたくさんいるだろうね。あんただって。それに大人しそうに見えて、やっぱり櫻井翔と付き合う女は違う。スタイルと顔がずば抜けていい」

そう言いながら私のことを舌舐めずりしながら見てきた記者は、すごく気持ちが悪かった。

『だとしたら……そこに写ってるのが私だとしたら、私はどうなりますか……？』

＊「まぁ……嫌がらせは酷くなるだろうし、ネットでバッシングはもちろん、一応目隠しはするけど、顔バレは秒だろうね」

あんたの写真くらい、手に入れようと思えば簡単だしね？

なんて掌に何度も写真を叩きつけるようにして、パチパチと音をさせてた。

『その記事……いつ出るんですか……？』

＊「んー。一応事務所に内容とか写真見せて承諾得てからだけど……ほぼ強行突破だから、数週間後には出ちゃうね。てかさ、もう何年も付き合ってて、何で今出るかわかる？」

『いえ……』

＊「あんたが櫻井翔と事務所に守られてるからだよ。でもこっちももう我慢の限界がきて、出す事がほぼ決まった。そしたら、別れざるを得ない状況になるかも知んないね。まぁこの記事が出た後、あんたらがどうなろうが俺らには関係ない事だけど」

『……そうですか。でも私には関係ないので。失礼します』

そう言われてすぐに部屋の荷物をまとめた。

お母さんに電話で状況を話して……

というか、翔さんと付き合ってることは知らないから

誤魔化しながら伝えて、逃げるように部屋を解約して

研修先にもわがままを言って、行く日にちを無理やり早めてもらって

そして、翔さんの部屋に戻る回数を翔さんにバレない程度に減らした。