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「ねー、シャワー貸してくんない？昨日ここ泊まったから浴びてねぇし。服も貸して。ホテルに全部置いてきた。てかAも浴びてないだろ？一緒に浴びる？」
『服取りに行けばいいじゃん。浴びに帰ればいいじゃん。一緒に浴びるわけないじゃん』
「帰るわけないじゃん。一緒に浴びないなら早く服を貸せばいいじゃん(笑)」
『勝手について来てその言い草は何様ですか』
「櫻井翔様だよ！！」
普通に会話できてるのが怖い。
10年なんて時間が経ってないみたいだし、寧ろ昔よりスムーズな会話のような気もしてくる。
あー、ダメだ。
翔さんのペースにのまれて簡単に好きが蘇ってきそう。
どうしよう、怖い。
「ねぇ、貸してくれたのAのだからか全部小さい。なんかすげーキモいんだけど」
数分後、物凄い違和感でしかない格好で出てきた翔さんに笑いが止まらなくなった。
『あっはっはっはっ！すっごい気持ち悪い！』
「そんな笑うなよ。可愛いから」
困った顔をする翔さんがまたおかしくて、笑い続けてたら
予想してなかった言葉が返ってきて、思わず笑いが止まる。
そのまま近づいてきて、急に見つめられるから、私も見つめ返した。
「A」
『はぃ……？』
「Aは相変わらず顔によく出るな？俺のことちょっと好きになってきただろ？(笑)」
『は？えっ……』
「まず俺の目を見ない。喉仏ばっかり見てる。あと、俺の名前をあんまり呼ばない。付き合う直前のあの頃と同じ」
『違う……！』
「違わない。それから昨日よりうんと距離が近くなった。Aは好きな人との距離が無意識に近くなる。あとは昨日よりもっと可愛い(笑)」
『翔さん、やめて……？』
「やめない。俺は決めたんだ。この旅行でAと前みたいに戻れなくても、俺の本気が伝わればいいって」
『翔さんの気持ちは嬉しいし、伝わってるよ？けど日本には帰らないかもしれないし……』
「構わない。ただ、心理的距離でいいから一緒にいて欲しい。死ぬまでずっと。だからそこまで法的関係は重視してない。まぁ、Aが結果的に櫻井になってくれるなら嬉しいけど」
翔さんの目と声が本気すぎるのと、圧が凄くて思わず頷いた。
「あ！今、うんって言ったな？それは俺のことが好きってことで、なんなら櫻井になってもいいってことでいいな？じゃあ早速携帯の番号かパソコンのアドレス教えろ！恋人同士が連絡先を知らないなんてあり得ないからな！」
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年1月21日 13時
