鈴蘭の咲く頃4【ars/S.S】 (ページ32)

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俺の言葉をすぐに理解して、戸惑って何も言わないAちゃんに、もう一回ダメ元でお願い。

「Aちゃんのハジメテ……が欲しい。クリスマスプレゼントに、頂戴？」

『えっ……///』

「ダメ、かな……？」

『えっと……///』

その言葉と気まずい空間に、Aちゃんの身体が硬直したのが分かる。

2人して沈黙で、お互いの微かな息遣いと、風が窓ガラスを揺らす音しか聞こえてこないから

さっきから緊張してる俺の心臓が痛い程強く鼓動を打ち続けてて、Aちゃんにまでその音が聞こえてそう。

何秒しか経ってないであろう、その沈黙さえ耐えきれなくなって

「えっと、ごめん！まだか！そうだよね！ごめん、ごめん！冗談だから、忘れて？えっと、そうだなぁ……俺は、他に何か欲しいのあったかな？物だよね？何が良いかな？」

両手を離して腕を組んで、一生懸命わざとらしく明るい声で空気を変える。

『翔くん……///』

「えっ？思いついた？Aちゃんの欲しい物！」

『私も、翔くん、が、欲しい……』

「えっ……？」

Aちゃんの両手が俺の組んでる腕にそっと触れて、俯きながら消え入りそうな、小さな、小さな声で

『クリスマスプレゼントに、翔くんが、欲しいって言ったの……。だから、その、大好きな翔くんが、私のハジメテ、もらってくれたら嬉しいな……///』

手にキュッと力を入れて、言葉を詰まらせながら、耳まで真っ赤にして言ってくれるから

俺の頭ん中で、スイッチが入る音がする。

「ね、Aちゃん、こっち見て？」

小さな身体を小刻みに震わせながら、俯いてるから、きっとそんなこと口にした自分自身が恥ずかしくて

顔が上げられないんだなって事くらいは、安易に想像がついた。

「Aちゃん、顔上げて？Aちゃんの顔、俺によく見せて？」

何も言わずに、ふるふると首を小さく振る。

ほらね、可愛い。

すっげぇ可愛い。

そんなAちゃんの姿が可愛いすぎて、思わず溜息が小さく漏れる。

それに胸もキュンキュン震えて、痛い程締め付けられる。

言葉に発しただけで、こんなに恥ずかしがるAちゃんが可愛くて、愛おしくて……

本当に愛おしくて仕方ない。

好きで好きで大好きで……本当に大好き。