鈴蘭の咲く頃4【ars/S.S】 (ページ14)

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そしたら、私の心の声が聞こえたかのように、翔くんが、柔らかい声で言ってくれる。

「ん？俺のね、Aちゃんへの気持ちは、この先も変わらないよ。Aちゃんは？」

『私も、変わりません……！』

「良かった(笑)じゃあ今からは、俺がAちゃんのこと独り占め出来る時間ね？でね、夜ご飯、また作って欲しいなって思ってんだけど」

ダメ？ってそういう翔くんが、いつもと変わりない優しい声に戻って

ハンドルに頭を預けながら、やっと目を見て話しかけてくれるから

肩の力がすっと抜けて、自然と笑みが零れた。

『ダメじゃないです……///何か食べたいものありますか？』

「んー、今日は何が良いかなぁ？得意料理なんかある？」

『ないです(笑)得意になる程してないですから。あ、ちなみに今日のうちの夜ご飯は、生姜焼きでした！』

「じゃあ生姜焼き」

『はぁい』

・

やっと俺の元に戻ってきたシンデレラと、仲良く手を繋いでスーパーで買い物中。

『お味噌汁も飲みますか？』

「あ、飲みたーい」

『少量作るの難しいので、明日の朝とか夜にまた食べてくださいね？腐りますから』

「ほーい」

Aちゃんに夜ご飯を作ってもらう度に

冷蔵庫とか棚に、俺だけじゃ絶対買わないみりんとか、味噌とか、調味料が増えてくのが嬉しい。

平日は、お互い仕事とバイトで忙しくて会えない分

それらを見るだけで、仕事頑張れるもん。

超単純。

それに、Aちゃん専用の食器とか箸も買ってさ。

確実に親密さを感じられるから幸せ。

『翔くん、袋、車まで持って欲しいです』

「はいはい、お安い御用」

俺にあんまり自分の荷物を持たせたくないAちゃんだけど

スーパーに行くと、必ず俺に持ってって可愛い声と顔をして、お願いしてくる。

あー、可愛い、可愛い。

どの瞬間切り取っても可愛い。

可愛くない時なんてねぇんじゃねぇの？

家に着くなり、もうすっかり慣れた様子で、俺んちのキッチンで夕ご飯の準備を始める。

『ちょっと待っててくださいね。すぐ作ります』

「準備もいいけどさ、ちょっとこっちきて」

『え？はい』

声を掛けると、準備しようと思ったのにって顔しながら、リビングに立ってる俺に近づいてくる。

「ちょっと、こうさせて？」

Aちゃんをぎゅーっと抱きしめて、首元に顔を埋めた。

そうすると、Aちゃんの腕も遠慮がちに腰に巻きついてくる。