鈴蘭の君【ars/S.S】《完結》 (ページ33)

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和「Aはその時、まだ、自分の思いを伝えられてなかったって事ね？」

翔「そう。でも告白するって言ったんだ。もう大学に行ったら、家庭教師は要らないから、振られても気まずくならないでしょって」

智「で、その答えが、卒業式のアレだ？(笑)」

雅「ドラマみたいだったよね！」

潤「随分クセェことすんなって思ったわ！」

和「結局“先生”も、Aがずっと好きだったってことだろ？」

翔「だろうね。自分より7つも下だからさ、せめて、高校卒業するまで、待ってたのかもしれないよね。自分の気持ち言うのを。俺らの淡い恋心なんかより、ずっと苦しくて、切なくてさ。Aの一途さもだけど、先生のAに対する気持ちには、きっと俺らなんかじゃ敵わなかったよ。だからお似合いだと思う。あの2人」

・

高校の卒業式当日。

式が終わった後、教室に最後まで残って、6人でくだらない話をしてた。

その間も、ずっと窓の外を気にして、校門を見つめるA。

先生を待ってんだなってすぐわかった。

告白した時

『もし、先生も私の事が好きだったら、卒業式迎えに来てって言うつもりなの。社会人だから、平日の夕方になんて無理だし、こんな子どもに好きって言われて……しかも友達の妹だから、困るの分かってるけど、それでも最後だから。ワガママ言っちゃおって。嫌な女だよね。仕事の方が大事なの決まってるのに、子どものくせに、仕事と私どっちが大事なのって天秤に掛けさせるような言葉、言おうなんて。最低だと思う』

そう言って自分を嘲笑ったA。

翔「そんな事ないよ。来てくれるといいね？」

『ううん。来てくれなくてもいい。せめて気持ちだけはって……翔くんと、和くんと一緒。ごめんね？』

翔「ううん、聞いてくれてありがとう」

俺以外も、先生を待ってんだなって、なんとなくそれに気づいてて、何も言わずに、Aと待ってた。

夕方5時を目前に、外が暗くなりはじめた頃。

『もう、帰ろっか。お腹、空いちゃった……(笑)』

Aが諦めたのか寂しそうに立ち上がった。

そんなAを見て相葉君が、明るい声で言う。

雅「みんなでさ、ファミレス、行こうよ！で、そのあとカラオケ行ってさ、打ち上げ、しよ！！ね？」

潤「いいねぇ！行こ行こ！」

翔「きっとファミレスも、カラオケも今日は高校生でいっぱいなんじゃね？(笑)」