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26 カウントダウン 貴女side ページ28

「あの、そんなに急いで、どうしたんですか!」

息も切れ切れに、安室さんに手を握られたまま問いかける。いくら現役FBI捜査官とは言っても、男の足にずっとついていけるわけないでしょうが!とつっこみたくなったが、そんなこと言えるはずもなく、言葉を飲み込んだ。

「着けばわかります!今は急いでください!」

こちらを振り返ることもなくそう言った。
そう言われてしまってはどうすることもできないので、黙ってついていくことにする。
...というか、こんな人前で手を繋いで、...正確には引っ張られてだけども、走るのはかなりはずかしいのだけれど。


ついた!と嬉しそうな彼の声がして、一体こんなに全力で走らされた理由はなんだと周りを見渡すが、ただの広場のようなところだった。



「あの...一体ここに何が...」

「あともうちょっと...。5...」


真剣そうに、でもどこか楽しそうに腕時計を見ながら呟くように言った。
そんな表情はとても人を殺しそうな悪い人には見えなくて。


「4...」


こんな表情をする人が悪い人なはずがないとも信じたい。


「3...」


もし、こんな表情が、演技だとしたら。
既に私の正体がばれてしまっていて、油断させるためなのだろう。


「2...」


もし、この表情が、本物だったら?
組織の人間だとしても、警察官だとしても、どうしてそんな幸せそうな顔ができるのですか?


「1...!」



本性を偽って潜入をしてるという点は、私と同じはずなのに。




童顔の彼が更に子供っぽくなった笑顔で顔をあげた。
瞬間、
ザアアと音を大きく立て、周囲から水が立ち上った。
それはまるで水の壁に囲まれているようだった。


「すごい...」

予期せぬことに思わず声が出てしまう。
勢いよく上った水からはぐれた飛沫が、顔に当たって気持ちいい。


「ここ、2時間起きに噴水がでるそうなんですよ。
どうしてもAさんに見せたくて...急に走らせてすみませんでした。」


「そんな、大丈夫ですよ!
素敵な物が見えてよかったです。ありがとうございました。」


しゅん、と子犬のような表情になったかと思えば、私が大丈夫だという旨を伝えると、よかった、と満足そうな笑顔になった。そんな表情を見ると、普段から笑顔を心がけているのだけれど、つられて余計に口角が上がってしまうのでした。






____
瞳の中の暗殺者いいですよね。

27 お願い 安室side→←25 手 貴女side



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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - ギャグじゃない、ぴえんって、ギャグ大好き過ぎて草ギャグ大好きな人、好きです← (2020年5月8日 4時) (レス) id: 65b70f381b (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - アオさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。ご心配ありがとうございます。作者、生きてます。更新したのでよかったらまた読んでやってくださいませ。 (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - のんのんさん» お返事が遅くなって申し訳ありません。応援ありがとうございます!中々亀さん更新になってしまうのですが...頑張ります!! (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
アオ - はじめまして。この作品暫く更新されていませんが、大丈夫ですか? (2018年5月5日 20時) (レス) id: e874f23264 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - すごくいい話ですね! 応援してます! 更新頑張ってください!! (2017年5月7日 17時) (レス) id: 925f4d298b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ x他1人 | 作成日時:2016年5月5日 17時

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