33 祈り 安室side ページ35
｢...っと、焦りこそ最大のトラップ、だったな｣
亡き友人の言葉を思い浮かべ、額の汗を拭う。
爆弾を見張る監視カメラも、センサーもなく、それ自体の仕組みもいたってシンプルだった。
が、今までタイムリミットが表示されていた文字盤に突如、"complete 0/2" の文字が現れた。
恐らく解除できていない爆弾が2つあるということを示している、と思われる。
つまり、俺が解体しているものとは別にもうひとつ爆弾があるということだ。
｢落ち着け、この爆弾を解体しなければ意味が無い。集中するんだ。｣
自分に言い聞かせるように言う。
だが、次の爆弾の場所も検討がつかない。
いや...今はそんなことより解体を急がなければ。
最後のコードを切りほっとしたのも束の間、駆け足でその場を去った。
｢くそっ...｣
もうひとつの爆弾はどこだ？
思い当たる場所は既に探し終えている。
もしかしたら見落としていたのかと思い、もう一度調べてみるが、やはりそこに爆弾はなかった。
園内を走り回って探したが、爆弾は見つからない。
気がつけば太陽は西の空に傾き、タイムリミットまでは残り、10分。
今から爆弾をみつけても、解体は無理だ。
せいぜい、そこにいる人達を避難させて人的被害を防ぐしかない。
Aは、大丈夫だろうか。
デート中にほったらかした俺に怒って、既に帰っていてくれてるといいのだが。
俺の大切な人達は、みんな向こうに行ってしまった。
彼女だけは、どうか、連れていかないで。
残り1分、彼女の姿を見つけた。
｢A！！！！｣
どこか虚ろな目をしたAは、俺の姿を見て酷く驚いた様だった。
彼女が口を開く前に腕を取り、出口のほうへ全速力で駆け出す。
｢透さん...！離してください！｣
俺は今、警察官として最低なことをしている。
自分の愛する人だけ逃がしてしまおう、だなんて。
｢説明は後だ！いいから着いてこい！｣
"後"が来ればいいんだがな。
それでも手を振りほどこうと必死な彼女を、なんだか愛おしく思う。
彼女だけ出口のゲートの外に追いやり、自分は再び中央に向かって走り出す。
探せど探せど、見つからない。
そして
タイムリミットが、来てしまった。
...が、
｢爆発...しない？ ｣
−−−−−
お気に入り500人ありがとうございます＆更新遅れて申し訳ないです。
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零(プロフ) - ギャグじゃない、ぴえんって、ギャグ大好き過ぎて草ギャグ大好きな人、好きです← (2020年5月8日 4時) (
レス) id: 65b70f381b (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - アオさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。ご心配ありがとうございます。作者、生きてます。更新したのでよかったらまた読んでやってくださいませ。 (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - のんのんさん» お返事が遅くなって申し訳ありません。応援ありがとうございます！中々亀さん更新になってしまうのですが...頑張ります！！ (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
アオ - はじめまして。この作品暫く更新されていませんが、大丈夫ですか？ (2018年5月5日 20時) (レス) id: e874f23264 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - すごくいい話ですね！ 応援してます！ 更新頑張ってください！！ (2017年5月7日 17時) (レス) id: 925f4d298b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ x他1人 | 作成日時：2016年5月5日 17時
