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「こんな回りくどい事をするんですよね、紫薔薇?」



そう言って彼の肩口にそっと触れるが、反応を示さない。
まるでこちらの出方を窺っているようだった。



「私がこの先の言葉を言えないからこそ、貴方は私に問いかけた(・・・・・)。いつもの貴方なら命令形にしていたはず。違いますか?」



視線の先、彼の白髪混じりの紫髪を眺めながら問いかければ、少々の沈黙の後に彼の吐息がフッと首筋にかかる。
そっと身体を離されれば、余裕そうな笑みで私を見つめる彼。



「なんや、やっぱりAはしおらしい男は好まんな。」

「…嵌めましたね。」

「自分が欲しいモンを手にする時は、どんな手段でも使えって教わっとるもんでね。」



彼は煙管を咥えて窓の外へと視線を移し、『まぁ、しおらしい俺を好きになられても、Aのイメージと違うから安心したわ。』と付け加えた。
ケラケラと楽しそうに笑う彼は、宛ら新しい玩具(おもちゃ)を見つけた子供のようだったが、その視線がふと熱を孕んだものとなった事に、私は一拍遅れて気が付いた。
"あ、"と思った時には顎を優しく捕まえられ、ふわりと口付けられていて、至近距離にある彼の本紫の目と視線がかち合う。
そのまま流れるような所作で緩く唇を食まれ、その撫で付けるような触れ方にくすぐったさを覚えた私は、一瞬 油断をした。
彼がそれを見落とす筈もなく、一歩後ずさった私の後頭部を抑えて、自身が座していた場所と私の場所を素早く入れ替える。
一瞬で逃げ場を失った私に、彼は柔和な笑みを浮かべて…





「ごほっ」

「こっから先は、まだAには刺激が強すぎるやろうから…お預けやな。」



彼の口から私の口の中に紫煙が吐き出される。
どこか甘さの残る重苦しい味。
いつも嗅ぎ慣れている彼の匂いが口いっぱいに広がり、変な気分になる。
暫く咽せ込んでいれば、額に優しく口付けられた。



「すまん。悪ふざけしたわ。」

「いえ。…紫薔薇はやはりお優しいですね。」



私の一言が心底意外だったのか彼は少しだけ目を見張ったが、直ぐに私の額にデコピンを食らわすと『早よ浦田さんのとこ行き。』と言う。
けれど、彼をこのままにして大丈夫だろうかと迷いが残っていた私は暫くその場に留まっていたが、突如として着替え出した彼に『犯してほしいならそこに居ったらええわ。』と言われれば、一目散に駆け出すしかなかった。





いつまでも喉元に滞留するそれ(・・)は、まるで彼のようだった。

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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (10月3日 23時) (レス) @page43 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
はおと(プロフ) - おっもしろいな〜!!!!! (2021年9月28日 15時) (レス) @page36 id: 36f12069ba (このIDを非表示/違反報告)
Haoto(プロフ) - すごく続きが気になる終わりかただ~…。面白いので、更新、できたらで良いので書いてもらえたらすごく嬉しいです…!! (2021年8月30日 3時) (レス) id: e9d14425e3 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 応援してます!頑張ってください! (2021年8月14日 14時) (レス) id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
しろ時雨(プロフ) - 主人公がかっこいい!憧れます! (2021年8月10日 8時) (レス) id: b4c51071c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雫月 彗 | 作成日時:2019年12月29日 19時

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