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「そして何より、これ(・・)でおあいこじゃあないかな?」


そう言って父は私の肩を抱く。
母も、私の髪や着物に染みた酒をタオルで拭いてくれる。
やはり私は、まだまだ守られる側の子供なのだ。


「平和的に解決しましょう。今後一切の出入りを禁止する、又は黄百合を恋愛対象としては見ず、客として店を利用する。お嬢さんはどちらがよろしいですか?」


今までに見たことのない、商売用の笑みを称える父は、とても恐ろしく感じた。

答えは聞くまでもなく一択だろう。


「……きゃ、客として利用させて下さい…。」


こんなに嫌な思いをしても利用したいとくるのだから、彼等の魅力はもはや麻薬的な依存度だろう。
そんなことを思うと同時に、身体がぐらりと傾く。
あ、限界かも…なんて呑気に考えていれば、酔いやらストレスやらでキャパオーバーを起こした私は、その場に倒れ込んでしまったのだった。









.









どこか喧騒を遠くに感じる。
そして、この柔らかな百合の花の香り。
ここはきっと…



「……黄百合。」

「センラ。」

「…センラ。」



もはや無理矢理言わされた感じだが、当の本人はお気に召したらしく、私の頭をぐっと抱き締める。
ぐえ、と女らしからぬ声が漏れた。



「気分は如何ですか?」

「…あまり良い気分ではありませんが、昨夜に比べれば幾分かはマシに。」



外が明るいのだ。
一晩経ってしまったのは容易に想像ができた。
そして先程起き抜けに聞いた喧騒はきっと…



「今日は"お祭り"でしたね。」

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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (10月3日 23時) (レス) @page43 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
はおと(プロフ) - おっもしろいな〜!!!!! (2021年9月28日 15時) (レス) @page36 id: 36f12069ba (このIDを非表示/違反報告)
Haoto(プロフ) - すごく続きが気になる終わりかただ~…。面白いので、更新、できたらで良いので書いてもらえたらすごく嬉しいです…!! (2021年8月30日 3時) (レス) id: e9d14425e3 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 応援してます!頑張ってください! (2021年8月14日 14時) (レス) id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
しろ時雨(プロフ) - 主人公がかっこいい!憧れます! (2021年8月10日 8時) (レス) id: b4c51071c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雫月 彗 | 作成日時:2019年12月29日 19時

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