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「駄目です。」

「何で?!」



即答したのには訳があった。



「それはこれからに響く…ってのがあんな。」



紫薔薇の一言に頷かざるを得ない。
何と言っても今回の一件は彼等だけの問題ではないのだ。
前々からその娘の(他の客もそうだが)、迎え入れは私が行っているのだ。



「まぁ、完全に顔は割れてるだろうしな。」

「………他の禿で試してみましょうか…?」



緑菊に提案を出してみるが、思案しているのか、顎に手を当ててぴくりともしない。



「とにかく僕は前に出るしかなさそうですねぇ。」



黄百合の一言に無言の時間が訪れる。
やはり私がやるしかないのだろうか。
でも何か顔を隠せる案がないとそれは出来ない。



「A。やっぱりお前に頼みたい。」



ずっと押し黙っていた緑菊が急に話し出す。



「ですが顔が…。」

「舞妓として来い。それなら怪しまれない。」



白粉を塗りたくる舞妓の顔。
それなら確かに怪しまれない。
華月(うち)では、彼等との御遊を少しでも盛り上げる為、宵は舞妓を迎えている。


「…けれど、舞妓では買う手段というものがありません。」



あくまで舞妓とは芸者。
普通に考えて、彼等を買える程の余裕は無い。



「いや。あくまでも僕らが自然にコンタクトが取れればいいと思いますわ。」

「娘と言えど酒は飲める年やからな。」

「酒は飲んでも呑まれるな、そういうこった。」



なるほど。
私に酒盛りをしろ、と。



「後は朝に記憶の改竄すればオッケー、と?」

「そ。その場凌ぎにはなるけど、口約束と言えど約束には変わりない。娘さえ丸め込めば父親も何とかなるだろ。あそこの父親、甘ちゃんだし。」



随分と最低な事をするもんだ。
但、私もそれにほんの少しだけ賛成なのは黙っておこう。









『彼等とはもうちょっとだけ一緒に居たい…。』
…なんて口が裂けても言わないが。








「拒否権は?」

「ない!!」









迷ってる暇はないようだ。

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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (10月3日 23時) (レス) @page43 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
はおと(プロフ) - おっもしろいな〜!!!!! (2021年9月28日 15時) (レス) @page36 id: 36f12069ba (このIDを非表示/違反報告)
Haoto(プロフ) - すごく続きが気になる終わりかただ~…。面白いので、更新、できたらで良いので書いてもらえたらすごく嬉しいです…!! (2021年8月30日 3時) (レス) id: e9d14425e3 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 応援してます!頑張ってください! (2021年8月14日 14時) (レス) id: 5ba492e76b (このIDを非表示/違反報告)
しろ時雨(プロフ) - 主人公がかっこいい!憧れます! (2021年8月10日 8時) (レス) id: b4c51071c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雫月 彗 | 作成日時:2019年12月29日 19時

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