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監獄 skt ページ27

この世界で、僕は絶対的支配者。





「こちら、最新のカルテです。ご確認ください。」



「………あの子とはもう一生会えないのでしょうか…。」





幾度となく答えてきた質問に、呆れと面倒臭さが滲む。
但、こちらもプロである。
そこは上手くやらねば。





「かなり強力な感染症ですからね…。我々も力を尽くしておりますが、面会はまだ先になるかと…。」





その答えに毎度の如く同じ態度を取る彼等。
いい加減学んで欲しいものだ。





「…あの子を、どうかよろしくお願いいたします。」



「責任を持って担当させていただきます。」





『また来ます。』と深々と礼をして帰っていく彼等の背中を見ながら、僕も踵を返す。
その足取りは軽く、彼等の対応後とは思えない程である。
軽くステップまで踏んでいる。
僕はその足で隔離病棟まで向かう。
そこは重症患者のみが通される病棟で、医師や看護師が付いていなければ、トイレにも行かせてはもらえない。
というか、大抵は誰かが付いていなければ生きていけない人たちが入る病棟である。
だからセキュリティーもバッチリ。





「失礼しまーす!」





勢いよく入った病室の患者さんは静かな寝息を立てて眠っていた。





「あちゃあ…。やっぱり寝とったかぁ…。」





彼女は別にどこも悪くはない。
至って健康体である。
そんな彼女が何故こんな場所で入院をしているのか。





「愛しとるよ…。僕の運命の人。」





そう。
僕の運命の人だから。



始まりは、彼女が学校で骨折をして僕の病院を訪れたこと。
一目で運命の人だと感じた。
女の人に疎い僕でも、心臓がどきどきと高鳴っているのが分かった位なのだ。
これが恋だと自覚するのも早かった。

だからこそ。
絶対に彼女を退院させてはならなかった。
だが、如何せん彼女の容態の回復は早かった。
何せ只の骨折である。
ちょっとやそっとのことでは引き留めてはおけない。
だから病院食に細工をさせてもらった。
健康体なら不健康体にしてしまえばいい。





『最近、眩暈と怠さが酷くて…』






血糖値を下げるグリベンクラミド。
そりゃあ正常な血糖値の彼女が飲めばそうなる。

あとは簡単。
偽のカルテを両親と彼女に投下してお終い。
キミを生かすも殺すも僕次第。
はたまたキミの身体を蝕んでいくのも僕次第。



永遠にこの監獄(プリズン)からは出してあーげない。
キミの寿命が尽きるその時までは、ね?

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あおい - とてもおもしろい話ばかりでした。再出発の最初の意味が解説でもわかりませんでした、もう少しヒントをくれませんか? (2020年1月7日 15時) (レス) id: 5b3cfe97b0 (このIDを非表示/違反報告)
微風*まふらー(プロフ) - とても好きなお話ばかりで更新が楽しみになります!!少々上から目線ですが、作者様のペースで構いません。ゆっくりでも頑張ってください!! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 73e14a1a4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雫月 彗 | 作成日時:2019年10月12日 11時

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