petrichor (ページ2)

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『え？』

振り返るとさっきまでいた店から出てきて、雨が降る空を見上げる長身の男

「うわーわりと降ってんじゃん、さすがにこれは結構濡れると思うわ」

帽子とマスクで顔の大半は隠れているのに、その気怠そうな雰囲気と甘い香りで不覚にもモテそうだなんて思ってしまった。

『あ、大丈夫です...ここからすぐなので、』

さすがに彼氏にフラれたのがこたえていたのか、早くひとりになりたいと思っている自分がいてその場を離れようとする。

雨空の下に出ようとするとグンッと体が後ろに引っ張られ長身男の胸に飛び込んでしまった。

『ちょ、すみませ』

「おねーさん、本気で誰かを好きになったことないでしょ？」

『...はい？』

　

「え、ちょっと待ってよそんな怖い顔しないでよー」

俺が変な人みたいじゃんなんてぼやくこの男

突然何を言い出すかと思いきや、予想外すぎる発言をする長身男に一瞬フリーズしてしまった。

『あの...急に何なんですか？私もう帰りますから、』

失礼しますと一生もう会うこともないだろうこの男に告げ、今度こそその場を離れようとすると

「ねえ」

「おねーさんのこと気になるっていったらどーする？」

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