好きだから ページ7
いきなり突風が吹いて私の体が浮く。
この感覚経験したことあるような…。
無「ねえ、何であの黄色い人に告ってんの」
『へ？』
私は無一郎にお姫様抱っこされていた。
しかも無一郎私を抱えながら結構なスピードで走ってる。
は？将棋部の力じゃないでしょ、これ。
しかも「黄色い人」って我妻先輩？私告ってないし！
私が好きなのは竈門先輩！！なんて言えないけど。
『…告ってないし』
無「好き、大好き、って大きな声で言ってたじゃん」
あ…言ったわ。
聞こえてたなんて………地獄耳か！！
あれも竈門先輩に対しての感情なんだけど無一郎にこのことを言ったらからかわれそう。
『…パンの話』
無「……パン？」
さっき禰豆子ちゃんとパンの話してたから嘘をついたことにはならないでしょ。←嘘ついてます
『好きなパンを言ってたの。それで我妻先輩にハニーミルクパン好き？って聞かれて“それ”言ったんだと思う』
無「…ふーん」
『ていうかいい加減おろしてよ。なぜ急に走り出した』
無「嫌だったから」
『何が？』
無「Aが黄色い人と一緒にいるのが」
無一郎はそっと私のことをおろしてくれた。
ていうか、なにそれ。
まるで私のこと好きみたいじゃん。
今朝は“でもいい”とか言ってたくせに。←めっちゃ根に持ってる
『どんだけ我妻先輩のこと嫌いなの？アハハ』
ここはしらばっくれとこう。
無一郎と気まずい関係になりたくないし。
無「…ねえ」
『ん？って、はっ⁈』
いきなり無一郎が抱きついてきた。
どういう状況？
久しぶりにハグしたくなったとか？昔はよくしてたから。
背丈があんまり変わらないから顔が近くてすごく恥ずかしい。
『ちょっと！ここ道のど真ん中！同じ学年の子に見られたら私はこの世から消されちゃ_____「…Aちゃん？」
後ろから聞こえるのは私が大好きなあの人の声。
こんなところ見られたら誤解されちゃうじゃん…！
『無一郎！離して！！』
無「やだ」
将棋部の力とは思えないくらいの力でぎゅうっと抱きしめられていて離れられない。
竈門先輩に誤解されるじゃん！無一郎の馬鹿！！！
『無一ろ_____「嫌がってるぞ」
すぐ真後ろで聞こえた竈門先輩の声。
肩をぐいっと引き寄せられて簡単に竈門先輩の方に体重がいく。
背中に広がる温かな体温。
うわぁぁぁ！今もしかして私竈門先輩にバックハグされてる⁈⁈⁈⁈
やばい、今日命日かも。。。
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作者名：いちか | 作成日時：2020年8月5日 18時
