大嫌いだった【五条悟】 (ページ9)

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三十九ページ9

そういってふりかぶった紅い糸

「う...う"う"う"ぞず.....きぃ"ぃ"い"！！！！」

「嘘じゃないよ」

横の壁を重力を無視して四つん這いになって駆け巡り、こちらへと距離を詰めてくる呪霊

ザッと、右足を後ろに引き、全神経を集中させる

ピッと指から出る血が一気に固くなる感触がして、切り口からは熱い呪力を感じる

息を飲むほどの速度、私は力が弱いから速さで負けたら終わりだ

だから私の戦いでは、どれだけ相手の力を利用するかによって勝敗は決まる

「スゥ........ｯｯ」

薄く息を素早く吸い、最速で糸を振り上げた

「はっ......まじかよ」

「....速いね..」

見えないだろう、見えてはいけないのだ

そのくらい速く、文字通り目にも止まらぬ速さで、誰にも気づかれないくらいに

「あ.....あ"あ"ぁ"ぁ"！？！？！？」

苦しんでいる

「さすが1級、胴体を切断されても生きてる」

「やはり物理攻撃だけでは無理があるところがあるね」

「まあまってよ傑」

私の前にでて、手から呪霊を出そうとする傑を止める

「まだ話はおわってないでしょ？」

私の赤血操術の話

「物理攻撃だけじゃなくてこういうことだってできるんだよ」

スっと指を折り曲げ唱える

ーー赤血操術・改「落椛」ーー

刹那、呪霊は凄まじい断末魔をあげて自らの体を傷つけ始める

「.....？どういうことだ？」

「はっ....やべぇな、えげつねぇ術式使いやがって」

サングラスを半分下げて六眼を露わにする悟に何が起こったかわかっていない傑

悟にはわかっているにだろう、六眼で覗いたから

「呪霊ってさ、なんだと思う？」

「...人の負の感情が具現化したものだ」

「そう、人間にとってマイナスになるには負の感情、ならば呪霊は？」

「逆ってことだろ」

「そう、反転術式とベースは同じ」

反転術式は呪力という元々マイナスの機能をもつものにマイナスをかけてプラスにするというもの

呪霊はマイナスの機能の塊、つまり"やつらにとっての負の感情は人間で言う正の感情"

苦しそうに喘ぎながら自らの体を削って消滅していく呪霊を横目に見ながら説明を続ける

「2人とも吸血鬼ってしってる？」

「そりゃもちろん」

「なめてんのか？」

「なめてないよ、一説によると彼らは血を吸う時に吸血対象の血を通して記憶を見ることができるって言う噂がある」