【アイナナ】氷を溶かすまで… (ページ10)

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9話ページ10

とは言ったものの…

何をしたらいいんだ…？

独り頭を悩ませていた。

「ただいまです。」

そんな時にAちゃんは帰って来た。

「おかえり～」

直ぐに自室へと戻ってしまった。

見た感じ、今日は何もされていないようだ。

でも、制服の下は傷だらけかもしれない。

そうなると把握できなくなるな…

また頭を抱えた。

するとAちゃんは私服に着替えて戻ってきた。

「何処かに行くのか？」

「今日の夕飯の買い出しに近くのスーパーまで。」

と颯爽に行こうとしていたので慌てて引き留めた。

「俺も行く。この人数の食材なんて重いだろ？荷物もちとしてついて行くぞ？」

「いえ、私、そんなにひ弱ではないので。」

「いいからっほら、行くぞ。」

無理やりついて行った。

　

　

「正直、助かりました。ありがとうございます。」

「あ、あぁ。いつでも言ってくれよ。」

意外と重かった…

Aちゃん、軽々と荷物持ってるんだけど…

強いな…

「あの…１つ訊いてもいいですか？」

珍しく話しかけられた。

「大和さんはどうして私にかまうのですか？何の利益もないですよ。」

そう言った。

「俺は、利益とかそんなのは考えてないよ。」

少し足を止めた。

「まず、人とは利益とか考えなくても付き合えるんだよ。」

Aちゃんは少し目を開いた。

「そうですか…」

また無言で歩き出した。

それから寮に着くまで俺達は一言も話さなかった。