【アイナナ】氷を溶かすまで… (ページ7)

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6話ページ7

それから数日が過ぎた。

相変わらず活動は停止、Aちゃんが笑うことは一度もなかった。

だから俺はAちゃんの事をマネージャーではなく、社長に訊くことにした。

「やはりそうだったか…紡の言うとおり、元から感情表現は乏しい子だったんだ。そのせいで友達もいなくてね。今回は学校が近いこともあって人と関わる機会を増やすことを目的に提案したんだ。」

「そうですか…」

更に聞けば、Aちゃんのご両親は仕事が忙しく、あまり家に帰っていなかったそうだ。

これで「おかえり。」と言われた時に戸惑っていた事は合点がいく。

「本人も本当は嬉しいはずだよ。感情が表に出ないだけで。」

社長はそう言って笑った。

ある程度、Aちゃんについては分かった。

だが、後１つ、知りたいことがあった。

「あの子はよく怪我をする子ですか？」

そう言うと社長の顔つきが変わった。

「いや…むしろ紡の方がよく怪我してたけどね。何かあったのかい？」

Aちゃんはここ数日、学校から帰ると必ずどこか怪我をしている。

だから、最悪の事も考え訊いてみたのだ。

「いえ、俺の考え過ぎかもしれません。」

「そうかい…でも、何かあったら直ぐに言ってくれ。」

そう言って俺は社長室を後にした。

　

　

「ただいまです。」

Aちゃんが帰って来た。

「おかえり～今日は早いんだな。」

まだイチもタマも帰ってきていない。

珍しかった。

「今日は１年生は昼までだったんです。」

「そっか。」

少しは慣れてくれたのか最近は少し話してくれる。

「ただいま」も言ってくれる。

まだ…笑わないけど…

「他の方はどちらに？」

「皆どっかに出掛けたよ。おにーさん、外に出るほど体力ないしね。」

「アイドルなら尚更体力つけたほうが良いと思いますけどね。」

ごもっともです…言い返す言葉がねぇーよ。

「私、自室で宿題をするので。何かあったら部屋まで来てください。」

とリビングを出ていってしまった。

　

　

Aside

分からない…

大和さんが何故私に構うのか…

分からない…

私は＿＿＿

　

　

出来ることなら、氷の様に溶けていなくなりたい…