【アイナナ】氷を溶かすまで… (ページ21)

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20話ページ21

「…ｸﾞｽｯ、すみません。」

「いいよ。それより、息は苦しくないか？」

Aちゃんは頷いた。

あまりにも声を上げて泣いていたもんだから発作が心配になったのだ。

時刻はもう24時を回ろうとしていた。

「そろそろ寝ようか。寮に帰ったら、さっき言ってくれたことを皆にも言ってくれるか？」

頷いてくれた。

「よし。俺も朝までいてやるからゆっくり寝な。」

布団をかけなおしてやるとAちゃんはすぐに眠った。

泣きつかれたのと熱あることだな…

すっかり忘れてたわ…

でも…心を開いてくれて良かった…

髪を優しく撫でた。

そんなことをしているうちに俺も寝てしまった。

　

　

朝、無事に退院することが出来た。

熱はまだ微熱程度あるらしいが、本人の強い願いから退院することが出来た。

そして、寮に着いた。

他の皆には事前に俺から連絡しており、Aちゃんが話すことを伝えておいた。

本人は緊張のあまりに堅くなっていたが、小さな声で話し出した。

時折、言葉にも詰まっていた。

それでも彼女は話続けた。

話をしている間は皆彼女の目を見て聴いていた。

全てを話終えた。

イジメの事…家族の事…

家族の事は車の中で社長から聴かされていた。

彼女は薄々気づいていたそうだ。

事実を聴かされても、表情１つ変えなかった。

少しの沈黙があった。

そして…

「…ありがとう。話しにくい事を話してくれて。」

リクがそう言った。

「イジメの事は早急に解決しましょう。証拠もあることですし。」

「そーだなっ！まずはそこからだな。」

「俺も…出きることなら、する。」

「それより、体は辛くない？まだ、熱あるんでしょ？」

「oh！それは、いけません！早くレスキューを！」

「それは大丈夫だと思う…」

リクの言葉に続いて皆口々に言った。

「な、言ったろ？俺達はお前さんの見方だって。」

今までの言葉に驚き続けていたが、とうとうまた泣き出した。

少し年の離れた妹が出来たみたいだった。

ちゃんとここに…Aちゃんの居場所はある…

皆の温かさはそう言っている様に思えた。