【アイナナ】氷を溶かすまで… (ページ18)

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17話ページ18

それから少しして戻ってきた万理さんと看護士さんによってAちゃんはまた眠らされた。

「…どういう意味でしょうか…『いる意味が無くなる』って…」

ソウが小さく言った。

もしかして…イジメの事に関係があるのか…？

それとも別の事情か…？

またもや疑問が頭の中を駆け巡った。

「あ、社長…」

扉の近くには社長がいた。

どうやらAちゃんの様子を見に来たようだ。

社長が来たことでソウと万理さんは一度帰ることになった。

「…一晩、入院らしいね。」

さっき暴れた事によって今日一晩は病院で様子を見ることになった。

水分を取ることが出来ないので脱水の恐れもあるとの事だった。

「大和君は随分とこの子と仲良くしてくれているようだね。」

「いえ…っと言っても、殆ど俺が一方的に話しているだけなんですけどね…」

「それでもありがたいよ」と社長は言った。

そして、強張った顔つきになった。

「実はね、この子は…Aちゃんは紡のいとこじゃないんだ。私達とは何の血縁関係もないんだ。」

突然のカミングアウトだった。

「私の友人の子供でね、本当に二人は忙しく働いていたから私が預かる事が多かったんだ。」

「あの時まではね…」と社長は呟いた。

この話は俺が聞いていてもいいのだろうか…

口ぶりからして、Aちゃんは知らない話だろう。

それでも社長は続けた。

「二人が仕事先で行方不明になったんだ。と言うより、連絡がつかなくなった。」

それは、Aちゃんが小学生になったばかりの頃だったらしい。

「行方不明になってから、Aちゃんは少しの間だけ施設に預けられていた。でも、それでは私は納得いかなくてね。この子が2年生になった頃に引き取って、嘘を吐いたんだ。」

それが、マネージャーといとこと言うことと、社長の姪と言うこと。

引き取ったものの一緒には暮らさず、最近まで独り暮らしだったそうだ。

「…さて、私は紡にも本当の事を話してくるよ。丁度潮時だしね。」

社長は何時もの笑顔で立ち上がった。

「大和君、君にはこの子の抱えるもう１つの問題を解決してもらってもいいかな？」

社長はやはり気付いていたか…

「わかりました。」

社長は事務所へと帰っていった。