【アイナナ】氷を溶かすまで… (ページ17)

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16話ページ17

病院に着くと小さな病室に運ばれて行った。

俺とソウと万理さんは処置の間は廊下で待っておく様に指示された。

「大丈夫ですかね…管理人さん。」

ソウが心配そうに言った。

「うーん。どうだろう。俺も小鳥遊事務所に入社してから何度か見かけたけど…こんなことは初めてだから…何とも言えない。」

万理さんもドアを見つめながらそう言った。

何日も前から我慢していたのか…？

それとも…突然…？

疑問は悶々と頭の中を駆け巡った。

そんな時に入室の許可がおりた。

病室に入るといくつかの点滴と経鼻カニューレを着けているAちゃんが眠っていた。

点滴のお陰か呼吸はさっきよりはましに見える。

「すみません、何方か保護者の方は…」

看護士に呼ばれ、代表して万理さんが向かった。

「良かったですね。病院に行くことになった時はどうなる事かと思いましたが。」

「そうだな…あ。」

Aちゃんが目を覚ました。

「大丈夫？此処は病院だからゆっくりしてね。」

ソウが優しく言った。

Aちゃんはトロンとした瞳で辺りを見渡していた。

「Aちゃん…？」

次の瞬間…

ビリッ

Aちゃんは点滴の管を自分の腕から引き抜いた。

カニューレも外し、病室の外へ出ようとしていた。

「駄目だよ！！」

ソウと俺で止めようとした。

力を込めなくてもAちゃん本人はまだ本調子ではないのでベットを降りてすぐに崩れてしまった。

「ほら、ちゃんと休もう。大和さん、看護士さんを…」

「…なくなる…」

ソウの言葉を遮ってそう言った。

「私のいる意味が無くなっちゃう…！」

突然のその言葉に俺達は何も出来なかった。