【コード・ブルー】空へ【3rdシーズン後編】

3rd　66 ページ19

事が急展開したのはあれから少したった頃だった。



堀内さんが亡くなったのだ。



それだけでなく、ヘリで出動していた緋山先生が針刺し事故を起こしていたのだった。



さらに堀内さんの渡航先が西アフリカだと判明し、動物との接触もあったそうだ。



この条件と堀内さんの症状から考えられる感染症は…



「エボラ出血熱…」



エボラだけじゃなくラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱…



出血性の感染症はいくつかある。



でも、発疹はなかったみたいだからマールブルグ病ではなさそう。



点状出血も大紫斑もみられなかったからクリミア・コンゴ出血熱も外れる。



だからラッサ熱かエボラに絞られると思うけど…



エボラだった時、致死率が圧倒的に高いのだ。



今、堀内さんと緋山先生の血液を感染症研究センターに送って結果を待っている。



この間緋山先生は個室で隔離待機となっている。



明日の昼頃に結果が出るように白石先生は連絡したそうだ。



まだ緋山先生に症状は何も出ていないが…



「…」



今は、何もできない。



出来ることは、陰性であることを祈るだけ…



そう考えながら歩いていると名取先生を見かけた。



そういや…名取先生の様子もおかしかったような…



そう思い、声をかけようとした時だった。



「名取先生ですよね、緋山先生に針刺したの。」



私よりも先に雪村さんがそう言っていた。



そういえば…雪村さんも今日出動してたよね…



どういうこと…



驚き私は物陰に隠れた。



「なんだ、見てたの。」



「やっぱり。」



「え、言わせた？うわー、雪村さんって怖いね。」



名取先生の様子はいつもと変わらないようだった。



これが本心だったらかなりの問題だけど…



そう思ったのは雪村さんも同じだった。



「心、痛まないんですか？」



「なんで？あの患者が感染症にかかってたのは俺のせいじゃない。」



名取先生の言っていることは間違いじゃない。



だけど…！



言い表せないような怒りが込み上げてきて名取先生に一言言ってやろうと思った時だった。



「こんなの、普通ならただの針刺しのインシデント報告で済む話だ…それで済む話だったんだ…」



そう言った名取先生を見ると怒りなんてすぐに収まった。



針を刺したことに対して深く後悔し、一番緋山先生を心配しているのが名取先生だと伝わったから…

3rd　67→←3rd　65

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す