六十九 ページ30
あいつらに無駄な労力を使いたくなかった。
単純に思いついたのは喧嘩。
お互い、やり合えばいい。
殴り合うも良し、口喧嘩も良し。
それからは簡単だった。
無駄に長く連んできたため、あいつらが何を言われれば怒るのかが、手に取るようにわかる。
上手く喧嘩しなかった時もあったけれど、少し手を出せば簡単に対立してくれた。
清々しい。
クラスが軽く学級崩壊していて、先生達はかなり戸惑っていた。
殆どの奴らと仲良くしてた私は、当たり前に先生達に様子を聞かれたけど
適当に流せば容易く信じてくれた。
「…っねぇ！」
本を読んでいると、いきなり話しかけられる。
「あんた……何したのよ！」
『…は？』
何したの？
知らねぇ。
「あんたのせいで……最後の一年間が台無しよ！」
……あぁ、その事。
『私のせいって……それで崩れる友情もどんなもんかと思うけどね』
「は…はぁ！？」
『私のくだらない作戦に騙されて勝手に喧嘩したのは誰？互いの事を信頼してないからそうなったんでしょうが』
「あんた……それ本気で言ってんの！？」
前髪を引っ付かんでグラグラ揺らしてくる。
『本気に決まってるでしょ。それとも何？喧嘩別れして全く話してないのに、今でも尚仲がいいとか言いたいの？』
鼻で笑うと、それが癪に障ったのか。
手を握りしめて、私を睨んできた。
『どうする？殴る？別に殴ってもいいけど、それで怒られんのあんただよ？』
「な……なんで……！」
『私は自分の手を染めてないから』
「なっ…」
手のひらを見せて、振った。
『勝手に喧嘩したのはあんたらの方でしょ？
確かに私は喧嘩したらいい、とか思って色々したけど。
.
.
私が使ったのは手じゃなくて言葉。
私の言葉通りにあんたらが踊らされて、考え通りに動いて喧嘩しただけ。
文句ある？』
そういうと、向こうは睨みつけてくるけど何も言わなかった。
握りしめた手を私の机に叩きつけて、自分の机へと歩いて行った。
.
勿論、向こうの言いたいこともわかる。そこまで私はバカじゃない。
小学校最後のクラスだし。
最後の最後は、みんなで仲良く卒業したいっていうことだ。
多少は私もそう思う。
今までせっかく上手くやってこれたのに、最後の最後で腹の内がバレるなんて。
どーせなら最後までやり通したかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 687人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天宮あめ(プロフ) - 中学生の頃にこの作品に出会って、社会人になった今ふと思い出して読み返してます…。この作品大好きです… (4月15日 18時) (
レス) @page43 id: e3e1e5add3 (このIDを非表示/違反報告)
ただのフルート吹き - 出てきた弟君の名前が自分の入れた主人公の名前で笑うw 入れた名前遥 (はるか) 弟君の名前遥 (はる)ではるか、はるコンビですねww (2018年9月9日 18時) (レス) id: 5df5497f85 (このIDを非表示/違反報告)
夏色ポニテ(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも応援しています！ (2016年5月24日 18時) (レス) id: 8b1d927ae9 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 主人公遂にキレましたね！！この後どう続くのか本当に楽しみです！！ (2016年5月24日 17時) (レス) id: 12dc1de63f (このIDを非表示/違反報告)
茘枝(プロフ) - ばじるそーすさん» そうですね…続編に移行するギリギリまで残しておいていいですか？移行する直前に削除しますので… (2016年5月24日 7時) (レス) id: 97924ff770 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茘枝 | 作成日時：2016年3月19日 17時
