発熱-3 ページ7
……病院……
受付『伊沢Aちゃーん、診察室にどうぞ。』
伊沢「はい!」
幸いにも、病院はそんなに混んでおらず、すぐに順番がきた。
医者「扁桃腺がだいぶ腫れてますねぇ。急性扁桃炎です。熱が高いので座薬いれましょう。」
医者「用意してー。」
看護士「はい。」
Aを抱っこしたまま処置室に移動。
カーテンをしめた看護士さんがAの顔を覗きこんで、優しく話しかけた。
看護士「ここに横向きにごろんできるかな?」
A「んーんぅ…。」
看護士さんの言葉に、大きく首をふって、俺の服をぎゅっと握るA。
看護士「そうだよね。じゃあお父さん?かな? Aちゃんをよつんばいにして、上半身だけ前から抱っこしてあげてください。」
伊沢「あ、兄です。はい分かりました。A、ぎゅーしような。」
看護士さんの言葉に従ってベッドにAを降ろして、前から抱き締める。
動いたら長引いてしまうだろうから、しっかりとホールドした。
看護士「じゃあ、そのままぎゅーっとしてあげてて下さいねー。」
A「んー…やぁ…」
それでも、Aの体はびくっと動いてしまったけれど、看護士さんが手早く座薬を入れてくれたようで、あっという間に処置が終わった。
看護士「はい、おしまいだよー。」
伊沢「Aがんばったな。ありがとうございました。」
看護士「お利口さんだったねー。お大事にね。」
看護士さんの言葉に、コクンと小さく頷くAを腕に抱いたまま、処置室をでた。
会計を済ませて病院をでる。
いつの間にかAは寝てしまったようで、片腕に抱きながら、なんとかドラッグストアでポカリやらプリンやら、必要そうな買い物をし、家路についた。
帰宅して、Aを起こさないように、そっとベッドに降ろして布団を掛ける。
相変わらず頬は赤いけど、薬が効いてきたのか、心なしか落ち着いたような気がする。
伊沢「病院、泣かないでえらかったな。早く元気になって、一緒に遊ぼうな。」
そんな声を掛けながら、
寝ているAの頭を優しく撫でた。
END
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作者名:さちもっち | 作成日時:2020年12月5日 0時