*LDHのお姫様*

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剛典「まあ、芸能界っていうのはさ、

そういう、普通とは違う厳しさとか、

理不尽なこと、つらいことが山ほどある場所だよ。

それは、Aちゃん自身もアーティストとして

活動してきた中で痛いほど身にしみてると思う」




『……はい』




剛典「……期待や注目が怖いとか、

そんなん言えるわけないよね。

今、Aちゃんに集まってる人気や注目が

喉から手が出るほど欲しいって思ってる人、

腐るほどいるだろうからね。

それを分かってるから、さっき俺が聞いた時も

即答できなかったんでしょ」




『……バレて、ましたか、やっぱり』




剛典「俺じゃなくてもバレるよ、あんなん(笑)

Aちゃん、言葉にするのが苦手なだけで

顔とか態度にはすぐ出ちゃうタイプじゃない？」





そう言われて思い返すと、そうかもしれない……。

いや、分かんないけど。





剛典「最近、歌番組以外の仕事も増えたでしょ。

バラエティのゲストで呼ばれて出てる時に

あからさまに苦手そうな雰囲気出してたり

その場の空気にノリきれなくて困惑してるの、

観てるほうからしたら結構バレてるからね。

気を付けたほうがいいよ」




『っえ……！』





ちゃんとしてるつもりだったけど……。

そっか、気を付けないと、バレてるんだ……。





『き、気を付けます……』




剛典「……Aちゃんは、素直な子だよね」




『え……？』




剛典「素直で、誠実で、真面目で、謙虚」




『そ、そんな、私なんか全然……』




剛典「裏を返せば、結構ワガママな性格で

その場限りだとしても取り繕うのが苦手。

求められることには完璧に応えたいし、

それが無理なら最初からやりたくない。

周りが何となく受け入れてることでも

自分が納得できないことは受け入れたくない。

そんな風に頑固すぎるぐらいの信念はあるのに、

自分に自信がないから、それを発信できない。

だから周りにAちゃんの思いは伝わらなくて、

どんどん環境が変わっていく中で

受け入れられないものを押し付けられたり

求められるところに届かない自分が嫌になったり

今までどおりが通らないことに混乱したりしてる。

でも、言語化するのが苦手だから結局伝わらなくて

自分ひとりでストレス溜め込んで、ついに爆発して

今こんな状態、ってとこ？」




『…………そう、ですね』





性格から今の状況から、ズバリ言い当てられた。

岩田さん、何者なんでしょう……。

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