*LDHのお姫様*

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謎のインスタ騒動から2週間。

私は、しばらく他のアーティストの皆さんと

距離を置くことにした。

近くにいるから、疑われる。

だったら自分のほうから離れたらいい。

そう思って、出来るだけ誰かと一緒に居るのを

避けて1人になるようにした。

昔はずっと1人だったんだし、それが普通だって

言い聞かせて1人でいた、けど……。





『……意外と、さみしいなあ』





ここに来て、たくさんの人と出会って、

いろんな人と仲良くなった。

最近は特に、ただ事務所に来るだけでも

誰かしらには会えてたから、

久しぶりのひとりぼっちは結構寂しい。





『……はあ』




「ため息ついたら幸せ逃げるぞー」





出来るだけ人の居ない時間帯を見計らって

事務所に立ち寄ったのに。

この人はいつも、会いたくない時に会ってしまう。





『……TAKAHIROさん』




敬浩「なになにー？どうしちゃったのよA。

元気無くない？」




『……まあ、いろいろあって』




敬浩「いろいろ、ねえ……。

てか、会うの結構久しぶりだよね。

亜嵐が「Aに全然会えない！」って

うるさいのなんの」




『そうだね、久しぶり』




敬浩「……久しぶりなのは、

Aが俺らを避けてたから、で合ってる？」




『……避けてたわけじゃ、ない。

最近は仕事が忙しかったから、

なかなかタイミング合わなかっただけで……』




敬浩「A、嘘つくのヘタだよね」




『……うそじゃない』





咄嗟に出た言葉は、すぐ嘘と見破られる。

だからこの人には会いたくなかったんだ。





敬浩「なんで避けてたのか当ててあげよっか？

最近のインスタ騒動でしょ」




『……分かってるんじゃん』





全部分かってるくせに、いつも通りの顔して

私の左隣を歩くTAKAHIROさん。

少し距離を取ろうと右に一歩避けたら、

グイッと腕を引かれた。





敬浩「逃げんな、堂々としてろ」




『っ……』




敬浩「……理由があるって分かってても、

あからさまに避けられたら良い気しないよ。

言いたい事あるならちゃんと言え」




『……』




敬浩「Aじゃないんでしょ？あのインスタ」




『……私じゃ、ない……』





やっと言えた、その一言。

面と向かって「お前がやったんだろ」って

言われたわけじゃないから

否定しようにも出来なくて、

避けたくなんかないのに、

疑われるのも迷惑かけるのも嫌で

みんなを避けたことも、

全部、苦しかった。

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