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ぎゅうぎゅうとわたしに巻き付く同じ色のスウェットが暖かい。

『……広也は、優しいね。』
｢Aにだけ。｣

甘やかされて、気持ちのぐるぐるが消えていく。彼の優しさに溺れていくのも悪くない、けど

『広也がいるから、もう少し頑張れるよ。』
｢……そうか。｣

ちらりと見上げるとほんの少し唇を尖らせている。本気でわたしを養おうとしてたのが見えてとても嬉しくなって頬が緩んだ。巻きついた腕に自分の腕を重ねて、手をきゅっと握る。

『月、綺麗だね。』

2つの意味を込めて呟いた言葉。もうひとつの意味を知っているか知らないか分からないけど。

｢Aみたいだな、月。すぐどっかに消えそう。どこも行くなよ。｣

小さく、小さく呟かれる。

『行かないよ。』

わたし、あなたがいないとだめだもん。

｢無理しすぎんなよ。｣

こつんと頭がくっつく。

『分かってるよ。』

柔らかく柔らかく、頬に唇が触れた。