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奥山広也 ページ23

「……い、おい、起きろ。
風邪引くぞ。」


肩を叩く手と鼓膜を叩く声に目を覚ます。どうやら仕事をするために開いたパソコンの前に座ったまま眠りこんでしまったらしい。パソコンは既にスリープモードになり、黒い画面に寝起き顔を映していた。マウスを動かしてバソコンをシャットダウンさせる。


『あ……おかえり、広也。ご飯食べた?』
「ああ。眠いならベッドで寝ろよ。」


呆れたように言う彼も少し眠たそう。そんな彼は最近イキイキした表情を浮かべることが多くなった。彼をそうさせているのは愛車の15なのだが。それに対してなんとなく妬ましいというか、無力感を感じるというか、構ってくれなくて寂しいというか、少年みたいに楽しそうな彼になったのが嬉しいというか……。


そんなわたしのごちゃごちゃ、もやもやとした気持ちを込めて両手を彼へ伸ばす。


『立てない。』
「はぁ、しょうがねぇな。」


しゃがみ込んでわたしを抱える。顔に近づいた彼のワイシャツから香水が薫って、久しぶりのそれになんだか泣きそうになってしまった。

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作者名:Risa x他1人 | 作成日時:2019年8月28日 16時

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