二宮大輝 ページ1
「お前には関係ないだろ。」
『…そんな言い方なくない?』
「関係ないから関係ないって言ってんだよ。」
『…っもういい。大輝なんて知らないよ。』
鞄を手に立ち上がる。
「おい、どこいくんだよ。」
『帰る。』
「こんな時間に危ないだろ。雨だって降ってるし」
『………大輝には関係ないでしょ。』
「!」
『じゃあね。』
そう言い残して大輝の家を出る。
あれ、原因ってなんだっけ。こんなにすぐ忘れてしまうようなことで喧嘩してたんだね。普段温厚な彼があそこまで声を荒らげるって、わたしそんなに言ったんだね。やっぱりわたし、大輝に合ってる女じゃないのかもね。
携帯を取り出して、一言[別れよ、今までありがとうね。]それだけ送信した。そのまま電源を落とし、カバンの奥深くに突っ込んだ。
自宅に向かう道を進むと、路駐の真っ赤な車から男が降りて近づいてくる。
「おねーさん、1人でこんな所でどーしたの?
俺の家来ない?」
馴れ馴れしく腰を抱かれる。
『やめて、離して。』
「いやいや、びしょ濡れの人ほっとけないよ。
一緒にキモチイイコトしよ?」
…話が通じない。そんな奴とは関わらないに限る、と逃げ出そうとしても腰を掴まれているから逃げられない。そうしているうち、男はわたしの太腿に手を伸ばして撫で始めた。この時ばかりは、大輝に久しぶりに会えるからってミニスカートを履いたことを後悔した。
やだ、やめて、気持ち悪い。わたしはあんたなんかに触られるためにこれを履いてきたんじゃない。言いたいけど、あまりの恐怖で声が出ない。助けを呼ぼうにも携帯は電源を切った。第一、別れようなんて言っといて助けに来てくださいなんて図々しい。
どうしたらいいのかな。
気づいたら男の頬を叩いていた。男は一瞬ぽかんとしてそれから鬼のような表情になり、わたしを車に引き込もうとする。必死に抵抗するけど相手は男。やばい、載せられる。
そう思った瞬間、聞き慣れたエンジン音と共に大輝のEK9が現れる。車から出てきた大輝は一目で分かるくらい怒っていて。
男に向かって
「俺の女に手ェ出してんじゃねえよ。」
そう吐き捨てた。
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作者名:Risa x他1人 | 作成日時:2019年8月28日 16時