不良中学生 R.Y

ろく ページ8

職員室に戻ると大体の職員が体育館に向かったみたいで人が少なかった。
入学式出ないとだけど一旦荷物を保健室においてからにしようかなぁ。

そう思いながらいつも保健室に持っていく荷物を持って職員室を出る。

まだ眠たいなとか今日は夜ご飯どうしよとか考えながら歩く。
入学式もう始まるなと思いながらボーッと保健室のドアを開けた。

ガラッ

…あれ？


侑李「え、大貴？何してるの、入学式は？」


大貴「知念待ってたの。…ちょ、俺入学式遅れたらさすがにヤバイから頼んでいい？」


少し焦ったように話しながらもう保健室を出ようとしてる大貴を引き止める。


侑李「いや、ちょっと待って！え、この子は？」


椅子に気だるそうにして座った窓を見ている少年のことを聞く。
もしかして斗真の言ってた子…？
いや、もしかしてじゃなくて多分そう。

見覚えのない後ろ姿で、恐らく大貴が連れてきた子。
確か、山田涼介って言ったっけ？


大貴「さっき言ってた転入生。入学式の間後ろの方で様子見といてほしいんだけど…。まだ転入生がいるってクラスの子達にも言ってないし、後で連れてくから。」


侑李「あーうん。分かった、任せて。」


もう今すぐにでも出て行きたそうな大貴をこれ以上引き止めるのは流石に可哀想だから、もっと聞きたい事もあったけどとりあえず頷く。


大貴「じゃ、よろしく！」


そう言って小走りで保健室を出ていった大貴を見届けて、まだ窓の外を見続ける少年の方を見る。
小柄で痩せた子。
髪の毛はふわっとしてる。
少し制服は大きくて、ちょっとだけ着崩してる。

なんて声掛けよう…。
いや、そもそもどう呼べばいいんだろう？
山田くん？
人間不信だったよね、あんまり距離がある呼び方しない方がいいのかな？
斗真は涼介って呼んでたな。
僕達も斗真と初めて会った時から名前で呼ばれたし、涼介って呼ぶのもありかな。

不安で色んな事が頭を駆け巡る。
でも、喋らなきゃ。


侑李「…ねぇ、君山田涼介くんだよね？僕、この学校の養護教諭の知念侑李です。これからよろしくね。困ったこととか体調悪い時はいつでも頼ってね？」


涼介「……」


出来るだけ優しく声を掛けたんだけど…。
反応なしか。


侑李「もうすぐ入学式始まるから体育館行こっか？多分後ろに席が用意してあると思うから、ね？」


そう言って少し距離を縮めると、警戒したのか少し怪訝そうな顔をしてこっちを向いた。

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