Crazy you 11 ページ11
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飛貴「 大人の言うことには甘えていいって言ったでしょ。受け取って? 」
腕がほどかれた時には、さっきまで手に握られていたお札は無く、
「 いつの間に…、? 」
私のコートのポケットに入ったお札をみてにんまり。
飛貴「 ほら、寒いからもう帰りな! 」
また、子供扱い。からかわれているのかな。
そう思うと胸が苦しくて、飛貴さんの顔を見ていられない。
「 …ありがとうございました。」
無愛想にも聞こえる挨拶をし、タクシーに乗り込んだ。
視界の隅っこに飛貴さんが手を一生懸命降って見送っているのが見えたけれど、見えないふりをした。
だって、今飛貴さんの顔を見たら泣いちゃうと思うから。
これも全部、お酒のせいにしてしまおう。
運転手「 どちらまで? 」
「 あ、3丁目の交差点過ぎたコンビニで下ろしてください。」
出発したタクシーからネオンの光る街並みをボーッと眺める。
すごく濃い一日だったな。
危うく飛貴さんを好きになるところだったし。
運転手「 お客さん?着きましたよ。」
「 …あっすみません。これでお願いします。」
なんとなく飛貴さんから貰った1万円札は使えなくて、かろうじて財布に入っていた樋口さんを運転手さんに渡すと半分がお釣りというくらいの距離だった。
そのコンビニから数分でつくマンション。
「 ただいまーーー、」
伸びきった声が部屋中に響く。そして部屋に一歩足を踏み入れると涼の跡が沢山残ってる。
今は浮気されて悲しいや怒りの感情より、飛貴さんの匂いを涼で上書きされたくなくて。
- ガサッ、ガサッ、ガサッ、
ひたすら涼の物をゴミ袋に入れていく。
スリッパ、歯ブラシ、マグカップ、洋服、次々となんの躊躇いもなく袋に入れていく私って。
あれ?全然未練がましくないじゃん。
なんて、自分を奮い立たせる言葉を組みてる。
一通り作業を終えて袋の口を閉めたら、
このまま燃えるゴミで捨ててやる、全部!
意気込んで玄関に放り投げるように置いたゴミ。
そこでちらっと見えた飛貴さんの革靴にまた胸がぎゅっとなる。
だめだ、今日はお酒で弱ってるみたい。
もうお風呂入って寝てしまおう。
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ちょりこ(プロフ) - うーーーわっ!!めちゃめちゃいいところで終わってますね!!続きが気になりますがゆっくりでいいので待ってます!!! (5月3日 19時) (レス) @page45 id: 08dc60e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
sd07ky26(プロフ) - 毎回ワクワクドキドキしながら読んでいます!いつも更新されるのを楽しみに待っています!無理せず書いてください。by浮所担より (2023年4月24日 9時) (レス) @page44 id: 6f1a77b84f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rin | 作成日時:2021年10月28日 0時