スノードロップ 2【HiranoSho】 (ページ15)

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俺は小さい頃に父親を病気で亡くした。

「父親が居ない事で苦労をせたくない」と、俺と弟を養うために必死に働いていた母親の優しさは今でも覚えている。

俺がグレそうになった時期もあったけど、それは結局母親に構ってもらいたい一心だったと思う。

母「紫耀、行ってくるね。」

『顔色悪いけど、大丈夫なん？』

母「大丈夫よ。行ってきますー！」

夜の仕事をしていた母とはすれ違い生活で、ちゃんとした会話が何なのかもわからないほど。

母と言葉を交わしたのはこれが最後だったと思う。

この会話をした翌日過労死で倒れた母は、俺たちを残しあっけなく亡くなってしまった。

これが、高校生の時の話。

あの時、無理やりにでも俺が引き留めていれば、母は生きていたかもしれないのに、なんて空言を並べる。

無力な自分に腹が立ったし、母の身を滅ぼした原因である水商売、所謂夜の仕事に対する嫌悪感もある。

故に、大橋さんの接待は苦しくて逃げ出したくもなった。そこにいる人たちは関係が無いことなんだろうけど。

面白くなくても常に笑顔で、お客様の言いなり。
母はこんなことをしていたのか、と。

この頃を境に、自分を犠牲にしてでも何かを守ろうとする、女という人類が苦手になった。

だからこそ、俺が女の話をすると廉と海人は面白がって話を聞いてくれたのかも。

廉「あの女嫌いの紫耀がアイドルなんて！」

海人「ほんと、どうしちゃったのかね～。」

廉「今度俺らも連れてってや！」

いい大学に進学して、それなりの成績で卒業して

大企業に就職しても、社内で偽りしか作り出せなかった。

イケメンで運動もできて、仕事もできる。

勉強は唯一の苦手分野だったけど、器用貧乏な俺は何となくこなすことが出来てた。

そのせいで付けられたあだ名は＂才色兼備＂

こんな言葉に踊らされて近づいてくる女は多かったけど、全部適当にあしらっていると直に「平野紫耀はあっち系らしい」という噂を流された。

そんな時に、1枚の写真を見た。

それは、スノードロップの花を持ったAちゃんの写真。

この1枚の写真が人生を変え、目立つのが嫌いだった俺が今や社長にまで登りつめたんだけれども。