スノードロップ 2【HiranoSho】 (ページ12)

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朝から気分が悪くて仕方ない。

もちろん原因は

「平野さん～、今日しいたけ貰ったので朝食はこれ使いますね…！」

他ならない目の前にいるAちゃん。

昨日エレベーター前で見たあの顔、

海人に顔真っ赤にさせられてたやつに腹が立ってる。

『これ。』

「あっ、探してたんです！これ、どこにありました？」

『会社のデスク。』

「ありがとうございます、無くしたかと思ったー！」

俺の気持ちなんて露知らず。

社員証を大切そうにカバンにしまう。

『あーうんまい！このチョコプロ並みだわ～！』

いつもAちゃんには子供みたいな抵抗しかできないけど、やらないよりは俺の心情がマシになる。

「 …美味しそうですね。」

少し力なく返ってきた言葉も気にすることなく昨日他人からもらったチョコをパクパクと食べ進める。

「朝食出来ましたけど、食べますか？」

目の前にやってきたお盆を見て首を振りそうになったけど

『俺、しいたけ嫌いなんよ。だからパス。』

「申し訳ございませんでした…。」

やっぱり声に覇気が無い彼女のことが気になったけど、ここで俺が折れたら負けな気がした。

それから約30分、いつもは一緒に出る俺らだけど、

「今日は先に出社させていただきます。」

その言葉を残して、俺の家を出ていってしまった。

冷たくしすぎたかもしれない、と後悔してもそこにはもうAちゃんの姿が無いのでどうでも良くなる。

『 …、』

寝室に入ると、いつもは一緒に選んでくれるスーツとネクタイが鏡の横に掛けられていた。

こんな態度を取る俺に、文句一つ言わずに接してくれることが嬉しい気持ち半分、仕事だと割り切られているのだろうと悲しい気持ち半分になる。

結局用意されたスーツは気が重たく、進まなかったので別のスーツを着て出社することにする。

『既に懐かしい。』

Aちゃんが来る前に確立した、永瀬廉プレゼンツのスタイルを懐古した。