スノードロップ【HiranoSho】 (ページ23)

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「あ、紫耀くん！」

ニコニコしながら私を捉えている

『武勇伝言いに来たから！あーでもなあ』

少しの睡魔に襲われる午後の部一番で紫耀くんがまたやってきた。

「勿体ぶらないでよ～！」

『わああ、そんな目で見られたら！あんな、俺バレンタインのチョコの数ちょこっと自慢出来んねん』

少し上目使いでおねだりしてみると、簡単に開かれた口。

でもそれって、

「なにそれ、ダジャレ…？笑」

『あ！いや、これは間違え！いや、間違えでは無いか…チョコの数をちょこっと…あー！！』

「ふふっ、チョコを沢山貰ったんだね？」

『そうそう！それでその数はいくつでしょーか！』

私のことをじーと見ながら待っている様子。

それでも時間が迫ってるようで、次来るまでに考えといてねーと少しの余裕を残して出ていった。

むしろ、はがしをするスタッフさんにいつもお疲れ様ですなんて労りの言葉すらかける始末だから、スタッフさんも困っていた。

いくつ、かー。

無難に5つ？でも武勇伝って言うくらいだからな、20個とか？

結局、紫耀くんの思惑通りなのか、チョコの数を頭の中で考える羽目に。
天然と思いきや、意外と頭がいい所もあるんだよな。

『ただいまー！なーなー、何個か考えてくれた？』

「もちろん！めっちゃ考えちゃって、他の子対応してる時も紫耀くんの事しか考えられなかった…！」

正直に伝えてみたらまたお決まりの
『あかん』を連発

「何があかんの？」

『あーなんでもない！で？何個だと思う？』

「 0個」

『 …逆にね！笑』

真顔で言うと戸惑った顔の紫耀くんがまた可愛い。

「違った？」

『 …うん。え？でも俺そんなに魅力ない？』

不安げに揺れる瞳に惑わされる。

「モテそうだから0個なの。

私以外からのチョコ貰ってるの考えるだけで許せないもん。」

特大サービスをすると紅潮して固まる。

私、こんなキャラじゃないのにな。紫耀くんはこんなキャラまで引き出せちゃってすごい。

「なんか、紫耀くんとお話してるといつもと違う私になれる気がする」

『 …へ？』

ようやく現実に戻ってきた紫耀くんは間抜けな顔になった。

『それっていい意味…？』

「もちろん」

『ふふっ嬉しい！Aちゃんだーいすき！』

私もその笑顔に励まされてるよ。
なんて、言わないけど。