ネジ2つ ページ3
「そういえば、コナンくんもAさんとお話したがってましたね〜」
「コナンクン?」
聞き慣れない単語が耳に入ったのでAは梓のほうを見る。梓は笑顔を返した。
「ほら、ポアロによく来てるメガネの男の子ですよ。覚えてないですか?」
「…あ〜、ぼんやりと」
覚えていると言っていいのか微妙なくらいには。
「安室さんが仲を取り持ってあげたらどうです?どちらとも仲がいいし」
「仲を…彼とのですか……」
安室は難しい顔をした。
「小学生といえどコナンくんはかっこいいですからね……うーん…」
「小学生男子は怖いので嫌です」
「ええっ?コナンくん良い子ですよ?」
「奴らは感謝する時アリが10匹というギャグをかましながら本当に10匹渡してくるような輩ですよ。出来れば関わりたくない」
今なお消えることのない幼きAの悪夢だ。あれは本当にやばかった。
「そんなのやられたことあるんですか!?」
「彼は賢い子なのでそんなことはないと思いますが…でも、Aさんがそうおっしゃるならやめましょう!コナンくんには僕からうまく言っておきますね♪」
「安室さん…」
梓のじっとりした視線を受けて、安室は少し顔を逸らした。
「コナンくんが可哀想じゃないですか…意地悪しないであげてくださいよ」
「い、意地悪じゃありませんよ。無理に仲良くさせたらAさんが可哀想でしょう」
「もう、安室さん!」
サンドイッチを1つ腹に収めたAはオレンジジュースを手に取る。
「そもそも、なんで私と話したいんでしょう?」
「そりゃあAさんだからでしょう?」
「…オー、なるほど〜」
到底理解が及ばないことには、この一言で済ませるに限る。
じゅっとジュースを吸い上げる。オレンジの香りで、コーヒーの香りが遮断されてしまった。
「あのさ、小学生でも女の子にアリを渡したりは流石にしないよ?」
ふと気づくとテーブルのはしに、小さな少年が足を浮かせて頬杖をついていた。
Aと目が合うとにっこり笑い、トンッと軽やかに地面に降りてAの隣に座った。
「初めまして、Aお姉さん!僕は江戸川コナンだよ」
「コ、コナンくん…いつの間に来ていたんだい」
安室がひく、と笑顔を引きつらせる。
「数分前だよ?」
「…ということは」
「大人げない安室さんが僕とお姉さんに仲良くなって欲しくないのはよおーっく分かったから、そろそろ仕事戻った方がいいんじゃない」
やはり聞かれていたか。安室は苦笑いした。
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Mito - すごくいい作品ですね 私はこの作品が大好きですよ (2021年3月28日 23時) (レス) id: 121f4f7b22 (このIDを非表示/違反報告)
水落(プロフ) - コメントありがとうございます!色々読んで頂けているようで、ありがたい限りです!(まさかほろにがクラゲさんからコメントを頂けるとは思っておりませんでした、光栄です!こちらこそ応援してます!) (2019年12月6日 14時) (レス) id: 1398ffddc4 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - はちゃめちゃに名作でした…おかしいな、と思ったことをそのまま世界観にしてしまう発想が素敵・:*+.\(( °∀° ))/.:+連載中の他作品も読んでます、いつも細部の凝り方がすさまじいなと圧倒されます……これからも応援してますね!! (2019年12月5日 18時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
水落(プロフ) - シンアさん» 最後まで応援ありがとうございました!これからもお楽しみいただける作品を作れるよう頑張ります! (2019年4月22日 21時) (レス) id: 1398ffddc4 (このIDを非表示/違反報告)
シンア - 完結おめでとうございます。お疲れ様でした…。また作品楽しみに待っています。 (2019年4月22日 17時) (レス) id: f6e4c29514 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水落 | 作成日時:2018年11月3日 18時