外れたネジほど愛おしい【名探偵コナン】

ネジ11つ ページ12

不機嫌顔が一気に花が咲いたような笑顔に変わり、コナンはAに詰め寄った。

「もちろんお姉さんは今日用事がいっぱいだよね！？キッドの約束なんて忘れちゃうくらい！！」

「いえ、特に何も」

「いいやあるよ！絶対ある！！思い出して！！何かあるでしょ！？」

Aは数秒考えて、やっぱり無いと首を振った。

なんとなく予想はしていたがそれは大変マズイ。絶対にお姉さんをキッドの元へなど行かせてなるものか。

「あ、じゃあこれから、僕の知り合いの博士の家に遊びに来てよ！」

もちろん返答はYESorYESしか認めないタイプのお誘いである。

＿＿＿
コナンはお姉さんを博士の家に預け、その足で現場に来てキッドと対峙していた。

びゅう、と夜風が音を立てて2人を撫でていく。

コナンは目を伏せ、ほんの少し思い詰めたような顔をする。

「おいキッド…オメーに聞きたいことがあんだけど」

キッドはその真剣な声に、只事ではないなとしっかり聞く体勢をつくる。コナンはギラリと瞳を鋭くした。

「オメー……なんでAさんの家知ってんだよ！！ストーカーで訴えるぞ！！！」

「ハア！？いきなり何を……おいまさか、今日あの人が来なかったのってオメーのせいか！？」

「ああそーだよ！今頃探偵団の奴らと楽しくやってるだろーな！」

「てっ…めー人が折角ロマンチックに誘ったっつーのに！！」

「なあにがロマンチックだキザストーカー！Aさんの家の場所吐くまで逃がさねえぞ！！」

「キザでストーカーはオメーもだよ、教えるわけねーだろ！！捕まえられるもんならやってみな！！」

「そっちこそ覚悟しやがれ！！」

探偵と怪盗の追いかけっこは昼間の大人2人の比にならない程長引き、最終的に探偵の粘り勝ちで幕を下ろした。

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