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デカい男とめっちゃデカい男が店の隅で睨み合う。凄く帰らせてほしい。
俺が会いたいのはこんな怖い銀髪じゃない……もっと心優しき銀髪のほうだ……。
きっと彼は今頃大量の生地をせっせと焼き上げているだろう。一緒に作ろうと約束していたのに何も手伝えていないのが心苦しい。
「はぁ……」
Aは思わずついたにしてはかなり大きなため息をついた。
一触即発メンチ切り合戦をしていた2人は同時にAを見る。
…えっなんでやめて見られても困る。
「なんだ。言いてえことでもあるのか?」
「擁護なら時間の無駄なのでやめてくださいね…」
なんでもないです本当にまじで。でも強いていうなら早く田中さん家に遊びに行きたいです。
しかし当然それを言える雰囲気ではないし、我が身は可愛いので黙っておこう。
こうなったらこの2人がなんかいい感じに纏まるまで待っててもらうほかない。
「…いえいえ、お気になさらず。どうぞ続けてください」
だが2人は怪訝そうにこちらに向き直る。
更にいつの間にか違和感なくその手に収められていた拳銃も向けてきた。2人共だ。
実は仲良いんじゃないのかこの人達。
「言え。何が言いたい」
「ですから、何も…」
「まどろっこしいのはやめにしましょう。今日は僕も彼も気が立っていますから」
…逆ギレだ…逆ギレされている…。
これが在りし日の俺が憧れていたなんかやばそうな人達からの逆ギレ。実際体験したら憧れる要素なんっにもないぞ在りし日の俺。
「邪魔をしてしまったようで申し訳ありません……が、あまりにもつまらなかったもので」
まあ在りし日の俺が憧れのシーンにする返しを練習していないわけがないし、今の俺がそれを条件反射でぽろっと言わないわけがないんだけどな。
何度でも言う、俺のバァカ。
「……は?」
鼓膜を揺らす地を這うような低音。一気に空気が凍ったのが分かる。
なんでこの状況で煽るようなこと言えたのか。
それはつまりKYって俺みたいなやつのことを言うからだ。
…田中さんごめん、永遠にそっちには行けないかもしれない。到底消費しきれない量のたい焼き焼かせといてほんとにゴメンだけど。
どうか1人でがんばって……。
そして(若干)腹を括ったAは己の口に全力ゴーサインを出した。
「あは、やっぱりまだお気づきでないんですね。いやいや、拍子抜けです。これではとても…ね」
怪しげ仕草、流し目、営業スマイル。
やって参りました、A無双のお時間です。
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マコ - こんな偶然が重なることなんてある⁉︎笑笑笑。夢主運良すぎな笑笑笑笑 (12月22日 16時) (レス) @page22 id: df9fd7219e (このIDを非表示/違反報告)
うぇ - めちゃめちゃ面白いやないですか(笑)腹はち切れたww 更新待ってますw (2022年5月22日 13時) (レス) @page48 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
RAMO - めっちゃ好きwww (2022年2月6日 12時) (レス) @page23 id: e4a05cbcc8 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - ((◎д◎))ァァァァァァァ いやー神!神作品とはこの事だ! 見事に起こるすれ違い、、WWW続き楽しみにしてます!! (2022年1月23日 11時) (レス) @page8 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 面白すぎるwwwwwwwww更新待ってます (2022年1月7日 17時) (レス) @page48 id: 2d5bed1f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水落 | 作成日時:2018年12月14日 15時