7秒 ページ8
日常に戻れると思っていた。銀髪も金髪も、ほんの一瞬触れただけの非日常だと。
だからもう、例えば田中さんとたい焼きを自宅で量産するような、そんな日常に戻ったものだと勘違いしていた。
あの日の嘘でもうとっくに、日常なんてものは壊れていたのだ。
「おい、いつまで経っても連絡が来ねえがまだ終わってねえのか」
目的地に向かっている途中で連れ込まれた知らないバー。薄暗い店内で壁と田中さんじゃない銀髪の人に挟まれている。
…田中さんが…田中さんがここからもう少し先の彼の自宅で待ってるのに……。
せめて連絡をしたい。田中さんゴメン、遅れそうだから先に焼いてていいよって。たい焼き。
「…どうした?」
「いえ…別に」
ふう、と細く息を吐く。席に着いてしまったからにはすぐに帰してもらえないかもしれない。
なるべく早く会話を切り上げよう…できるか分からないけど。
「で?どうなんだ」
「お察しの通りです」
「チッ」
うわ舌打ちされた怖っ
「あとどれくらいだ」
「さあ、相手次第です」
「ハッ、気持ちの悪ィやり方だな。直接手を下さずじわじわ追い込んで自滅させるんだろ?」
「なんとでも…」
全っ然心当たりない。俺は知らないうちに誰かを追い込んでいたというのか…ゴメン。
「気を悪くしたか?悪いな…俺には合わねえやり方だからつい、な。いいと思うぜ…追われる立場の奴には相当堪えるだろうよ」
「…どうも」
「早く顔が見てみたいもんだな…」
すみません、それ多分一生叶いません。
どうしよう…俺のことを覚えられてるなら今後もこうして会いにこられるんだろうか。
どう見ても危ない人なのでそれは嫌だ。しかしこの人が求めているのは架空の人物。
1回会わせてはい後は当事者同士で、ができない。
どうしたものかと思いつつもそろそろ帰って良さそうだとAが席を立とうとした、まさにその時である。
バーの扉が音を鳴らして、その人物の来店を知らせた。
Aは中途半端に腰を浮かせたまま硬直する。
その人物はつかつかと最奥にいる2人の元まで歩いてきて、凄みをきかせて口の端を上げた。
「探しましたよ…ですがまさか、あなたの仕向けたことだったとはね…。ジン、説明を」
ガタリと銀髪の人が立ち上がる。
「おいおいそりゃこっちの台詞だぜ……やっぱり仕掛けたのはテメェか。どういうつもりだ、バーボン」
運命は不思議ですね。
もう会わないと思っていた人間に2人も会っちゃうんだから。
Help me…
1982人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マコ - こんな偶然が重なることなんてある⁉︎笑笑笑。夢主運良すぎな笑笑笑笑 (12月22日 16時) (レス) @page22 id: df9fd7219e (このIDを非表示/違反報告)
うぇ - めちゃめちゃ面白いやないですか(笑)腹はち切れたww 更新待ってますw (2022年5月22日 13時) (レス) @page48 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
RAMO - めっちゃ好きwww (2022年2月6日 12時) (レス) @page23 id: e4a05cbcc8 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - ((◎д◎))ァァァァァァァ いやー神!神作品とはこの事だ! 見事に起こるすれ違い、、WWW続き楽しみにしてます!! (2022年1月23日 11時) (レス) @page8 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 面白すぎるwwwwwwwww更新待ってます (2022年1月7日 17時) (レス) @page48 id: 2d5bed1f91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水落 | 作成日時:2018年12月14日 15時