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「お仲間さん、帰しちゃって良かったんですか?」
『ゼロ』の言葉の真意を聞き出すためどうにかジンを説得し、場所を移したこの味気ない空間には2人だけになった。
バーボンとして時々使用する部屋の真ん中で男は相変わらず何を考えているのか読めない笑顔で首を傾げる。
「ええ。僕、尋問は1人の方が捗るタイプですから」
「へえ……」
こちらも笑顔を返すと男は中央に備えてあった椅子に自ら腰を下ろした。拘束用の椅子だと分かっているだろうにいい度胸だ。
本当はその男は足が震えて立てなくなったのでそこにあった椅子に座っただけだということをバーボンは知る由もない。
「さて、何から始めましょうか。お望み通りまずは手足の拘束からいきますか?」
「そんなもの望んだ覚えはありませんが…そうですね、時間がかかりそうなので知人に連絡を入れさせてもらえます?」
「あはは、冗談がお上手ですね。それとも連絡手段を持っているから潰せというお誘いですか?」
「やだなあ、会う予定があったのに行けなさそうだからそれを伝えるだけですよ。そちらは深読みがお上手なようで?」
「……本当にいい度胸だ。今日はしばらく楽しめそうです」
ここまで両者ずっと笑顔を保っているが、片方は筋肉が硬直して表情が動かなくなっているだけということもバーボンは知らない。
そしてAの口から出ることは9割方てきとうだということも勿論知らないバーボンは、ああそうだと言いながらAの右膝に銃を押し付け、首を軽く押さえた。
「……っ」
「先に聞いておきたいことがあるんでした。無回答や嘘、抵抗は右足が使い物にならなくなると考えて答えてくださいね」
Aは流石に顔を歪めたが怖さで泣きださなかったのは僥倖だ。
バーボンは潤みかけたAの目をのぞき込む。
「……お前は、どこまで知っている」
Aは必死に考えた。
どこまでってなんだ。俺何も知らないけど。もしかして喫茶店で爽やかにバイトしてること?バレたら恥ずかしいとか?
…確かにこんなヤバい人が実は爽やかにいらっしゃいませ!とか言ってるの仲間に知られたらいたたまれないな。
「…まあ、あの…あえて明言は避けますが。恐らくあなたが知られたくないであろうことは……知ってますね」
「……!」
バーボンは瞳の収縮や脈から彼が言っていることは嘘ではないと判断する。
「詳細と、証拠を…聞かせてもらいましょう」
バーボンは悟られない程度にこくんと喉をならした。
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マコ - こんな偶然が重なることなんてある⁉︎笑笑笑。夢主運良すぎな笑笑笑笑 (12月22日 16時) (レス) @page22 id: df9fd7219e (このIDを非表示/違反報告)
うぇ - めちゃめちゃ面白いやないですか(笑)腹はち切れたww 更新待ってますw (2022年5月22日 13時) (レス) @page48 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
RAMO - めっちゃ好きwww (2022年2月6日 12時) (レス) @page23 id: e4a05cbcc8 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - ((◎д◎))ァァァァァァァ いやー神!神作品とはこの事だ! 見事に起こるすれ違い、、WWW続き楽しみにしてます!! (2022年1月23日 11時) (レス) @page8 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 面白すぎるwwwwwwwww更新待ってます (2022年1月7日 17時) (レス) @page48 id: 2d5bed1f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水落 | 作成日時:2018年12月14日 15時